車中泊旅行歴25年のクルマ旅専門家がまとめた、2023年7月現在の米子・境港・美保関(美保湾パークウェイ)の観光・グルメ及び車中泊スポットに関する情報です。
この記事は、車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、全国各地からセレクトした「クルマ旅にお勧めしたい100の旅先」の中のひとつです。
※ただし取材から時間が経過し、当時と状況が異なる場合がありますことをご容赦ください。

米子から境港に至る「美保湾パークウェイ」は、大山と合わせて楽しめる、車中泊クルマ旅にお勧めの観光ルート
境港(美保湾パークウェイ)の筆者の歴訪記録
※記録が残る2008年以降の取材日と訪問回数をご紹介。
2009.03.28
2011.03.19
2011.08.11
2013.02.23
2015.05.02
2016.03.19
2017.03.18
2022.05.04
2023.05.05
2023.07.16
※「境港(美保湾パークウェイ)」での現地調査は2023年7月が最新になります。
境港(美保湾パークウェイ) 車中泊旅行ガイド
美保湾パークウェイのロケーションと概要
よく日本は「箱庭」のような国と言われるが、それはそれで良い点も多い。
鳥取県西部には、米子自動車道が開通する以前から、岡山県の蒜山を皮切りに、鳥取県の大山・米子、さらには境港を経由して、島根県の美保関に至る、優れた景観を有する一本の道があった。
近年ではその道を「大山パークウェイ」と呼んでいるのだが、短い距離にもかかわらず、海は海らしく、山は山らしく見えるその沿線からの景観は、「箱庭」の真骨頂といえるものだろう。
ちなみに「パークウェイ」とは、国立公園などに設置された風光明媚な道の総称で、北米が代表的な道に愛称を付けて観光開発、街づくりの基軸にしているのを参考にしている。
現地では「大山蒜山パークウェイ」と「美保湾パークウェイ」を合わせて「大山パークウェイ」と称しているが、前者については以下の記事にその詳細をまとめている。
この記事は後者の「美保湾パークウェイ」のガイドになるのだが、まずは美保湾と実際の観光の舞台となる「弓ヶ浜半島」について簡単に紹介しておこう。
鳥取・島根両県にまたがる日本海に面した「美保湾」は、深度30メートル以浅の大規模な砂浜に恵まれた、「弓ヶ浜」周辺の海域を指している。
「弓ヶ浜」は「美保湾」と「中海」を分ける全長約17 キロの海岸で、中国山地から日本海へと注ぐ日野川が運び込む土砂と、付近の潮流の影響によって砂洲が形成され、幅約4キロの半島のようになっていることから、地理的には「弓ヶ浜半島」と呼ばれることも多い。
ちなみに「中海」は、弓ヶ浜半島によって日本海と隔てられた汽水湖(半塩湖)で、コハクチョウを筆頭にした冬鳥の渡来地として有名だ。
そしてこの橋が、ダイハツ・タントのテレビCMで一躍有名になった「ベタ踏み橋」がある「江島大橋」になる。
さて。
「弓ヶ浜」は「日本の渚百選」「日本の白砂青松百選」にも選定されており、その海岸線には、美保湾に湧く名湯「皆生温泉」のほか、境港周辺にも海岸線を望む絶景ポイントが点在する。
また「弓ヶ浜半島」の先端部と島根半島との間は「境水道」と呼ばれており、ここで「中海」と「日本海」がつながっている。
そのため境港は古来からの良港で、今も日本海側では屈指の漁獲高を誇っている。
美保湾パークウェイの見どころ

出典:安来市観光協会
米子より安来にご注目!
「美保湾」と云っても、米子から境港までの間には見どころは少なく、むしろ米子よりも隣接する島根県の安来に着目するほうがいいと思う。
とりわけ「足立美術館」は、「ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン」で、山陰エリア唯一となる最高評価の「三つ星」を獲得しており、外国人からもよく知られている。
ただ日本庭園を見慣れている日本人には、横山大観や北大路魯山人といった、我が国を代表するアーティストの作品のほうが興味深いかもしれない。
さらに日本100名城に名を連ねる「月山富田城」は、戦国時代に難攻不落の山城としてその名を轟かせた尼子氏の居城跡だ。
またご当地の民謡「安来節」は、どじょうすくいの唄で有名だが、2017年に放送された連続テレビ小説「わろてんか」にも登場していたので、中高年の中には覚えている人も多いのでは。
ただ写真の「安来節演芸館」は、2023年3月から1年間程度休館して、施設の設備改修工事を行っているとのこと。
公式サイトも新しくなるようで、2023年5月現在はネット上から削除されている。
メインはやはり「境港」
観光用のガイドブックを見ると、境港は今でも「ゲゲゲの鬼太郎」一色だが、もともと境港は水産資源に恵まれ漁港として発展してきた「魚の町」だけに、ここでは魚に関連する見どころも合わせて紹介したい。
水木しげるロード
駅前から約800メートルにわたって延びる「水木しげるロード」は、川を境に青天井とアーケードに分かれるが、面白いのは駅から続く青天井の道だ。
両脇には、数え切れないほどの妖怪ブロンズ像が並び立ち、まさに妖怪タウンの様相を呈している。
これらのブロンズ像が最初に置かれたのは1993年。最初は23体だったのが、現在は139体にのぼるという。
ブロンズ像は道路の両脇に並んでいるので、往復で違う側を歩くといい。また行く前に妖怪を覚えておくと、なお楽しい。
こちらは「一反もめん」をかたどったイカ焼きで、ファストフードも凝っていておもしろい(笑)。ここでは妖怪がらみのオリジナル商品と食物を物色しながら、「そぞろ歩き」を楽しもう。
とはいえ、このストリートの主役は、やはりこの「水木しげる記念館」だろう。
2003年3月に開館したこのミュージアムには、漫画家・水木しげるの代表作品である「ゲゲゲの鬼太郎」を筆頭にした水木作品の原画や、彼が収集した精霊や妖怪に関するコレクションを保管・展示している。
いっぽうこちらは「ゲゲゲの食卓」と第された、水木家の一部を再現しているコーナー。パネルには2010年上半期に放送されたNHKの朝ドラ「ゲゲゲの女房」のモデルとなった妻の布美枝さんの、ほのぼのとしたエピソードも展示されていた。
ただし「水木しげる記念館」は、2023年3月から建て替えのため休館し、2024年春に再オープンする予定になっているため、このコーナーがその後も見られるかどうかは分からない。
リニューアルの詳細は、以下でご確認を。

出典:NHK
余談になるが、「ゲゲゲの女房」はピアニスト・作曲家・歌手のプロフィールを合わせ持つ美人俳優・松下奈緒の出世作で、水木しげる役を向井理が演じ、主題歌には、いきものがかり の「ありがとう」が使われていた。
最後に人気の「妖怪ラテ」は、「ゲゲゲの妖怪楽園」の中にある「妖怪茶屋」で販売しており、ホット・アイス・フローズンから選ぶことができる。
海とくらしの史料館
さて。
境港の魚に関連する見どころでお勧めなのは、古い酒蔵を改修して作られた日本一の魚剥製水族館だ。水の要らない水族館なら、場所を選ばず建てることができるうえに、維持費もさほどかからない。
入場料も410円と格安で、まさにエコな町おこしの手本といえる。
剥製の展示数は700種類・4000点。右は深海魚のリュウグウノツカイで、中央はマンボウの剥製だが、宙吊りで展示されているため迫力があり、まるで生きているように見える。
海とくらしの史料館
☎0859-44-2000
開館時間:9時30分~17時(受付時間は16時30分まで)
火曜定休 入館料:おとな410円
カニもノドグロも買える「境港水産物直売センター」
続いては、鮮魚を買ったり食べたりできる市場を紹介する。
境港の市内にはこちらの「境港水産物直売センター」のほかにも、「大漁市場なかうら」「境港さかなセンター」の2つの観光市場があるが、地元の人が気軽に魚を買いに来るのは、境水道大橋の下にあるこの「境港水産物直売センター」だ。
行列ができる回転寿司店「お魚天国 すし若 境港店(竹中団地2号店)」
普段から回らない寿司屋にしか行かない人は別として(笑)、「くら寿司」や「かっぱ寿司」に抵抗がないのであれば、この「すし若」のコスパには、それなりの満足を感じていただけるかと思う。
お任せのネタで配膳される海鮮丼より、食べたい魚を選びたい人には間違いなくこちらがお勧めだ。
2016年までは一皿120円(税込)だったが、時勢を反映して2022年10月からは、一皿135円(税込)と168円(税込)になっている。
とはいえ
ここは公式サイトに、メニューもプライスも詳しく掲載されているので安心だ。
お魚天国 すし若 境港店
☎0859-45-9800
平日11時~21時(LO/20時30分)
※土日祝日は10時開店
無休
席数:130席・駐車場:100台
境港のリーズナブルでおいしい牛骨ラーメン店「黄金(こがね)」
「牛骨ラーメン」とは、文字通り牛の骨からダシをとる、鳥取県中西部のご当地ラーメンで、スープには牛脂独特の甘みと香ばしさがあり、麺は基本的に中太ちぢれ麺、具はチャーシュー、メンマ、モヤシ、ネギなどシンプルなものが多い。
その「牛骨ラーメンの特徴」にほぼ忠実で、スープもいいが麺もうまかったのが、「黄金」で、お値段なんと450円!
衝撃のプライスだが、「安い・早い・美味い」に加えて、ちゃんと一人前の量が入っている(笑)。
車中泊ができる「夢みなと公園」から、2キロほどのところにあるのも嬉しい。
黄金
☎0859-45-3003
10:00〜17:00・火曜定休
景色が素晴らしいのは美保関
境港からクルマで約15分。県境を超えた島根半島東端にある美保関には、漁業・海運・商売、そして歌舞音曲の神とされる「オオクニヌシ」の子、「コトシロヌシ」を祀る美保神社がある。
奈良時代の創建と伝わる「美保神社」は、福の神である「えびす様」の総本社としても知られているが、「コトシロヌシ」が七福神の「えびす様」と同一視しされるようになるのはずっと後年になってから。
七福神信仰が始まったのは室町時代で、現在のような形で親しまれるようになったのは江戸時代からといわれている。
出雲大社もそうだが、江戸時代中頃には戦がなくなったことで、日本に一大「観光旅行ブーム」が沸き起こった。
実はその時に「後付け」でいい加減な流布が広まっている。
「オオクニヌシ」や「スサノオ」が”縁結びの神様”というのはその最たる例で、御師と呼ばれる”旅行代理人”が、出雲に客を呼ぶめに創り出した虚実で、古代からの言い伝えとは違う。
「美保神社」の門前から伸びる道は、雨に濡れると石が青く光って見えることから「青石畳通り」と呼ばれ、北前船・西廻り航路の寄港地として栄えた当時の面影が残されている。ここは歩くと風情があっていいね。
さて。
美保関に向かう「しおかぜライン」からは、海の向こうに大山が眺望できる。
男女(めおと)岩は「しおかぜライン」のビュースポットで、その形状から子宝に恵まれるとの俗信が生まれた。
大山隠岐国立公園の一部をなす地蔵崎は、複雑に入り組んだリアス式海岸の断崖で、駐車場のある地蔵崎園地は、大山方面から昇る朝日と日本海に沈む夕日、さらに見通しの良い日には隠岐島まで望める島根県有数のビュースポットだ。
また遊歩道でつながる美保関灯台は、世界の歴史的灯台100選に選ばれ、隣設する石造りの灯台ビュッフェでは地魚料理が味わえる。
また「関の五本松公園」はツツジの名所で4月下旬から5月上旬に見頃を迎える。
頂上の展望台からは美保湾・弓ヶ浜・中海・大山を眺望できるが、ロープウェイは廃止されており、徒歩で登る必要がある。
美保湾パークウェイの車中泊事情と車中泊スポット
話が長くなりすぎるので、美保湾パークウェイの車中泊事情と車中泊スポットについては、別途以下の記事に詳細をまとめている。
観光ガイドと同じくらいのボリュームがあるので、一息入れてからご覧になられたほうがアタマに入るかもしれない(笑)。
境港(弓ヶ浜半島) 車中泊旅行ガイド
鳥取県 車中泊旅行ガイド


車中泊でクルマ旅 総合案内
クルマ旅を愉しむための車中泊入門

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