「クルマ旅専門家」・稲垣朝則が、10年以上かけてめぐってきた全国の温泉地を、「車中泊旅行者の目線」から再評価。車中泊事情や温泉情緒、さらに観光・グルメにいたる「各温泉地の魅力」を、主観を交えてご紹介します。
白濁のお湯は、pH3.2の酸性単純硫黄泉
1990年に開業した「湯けむり館」は、乗鞍高原を訪れるハイカーや、スキーヤーの疲れを癒し続けてきた名湯だ。
硫黄臭を伴う白濁のお湯をたたえ、車中泊ができる乗鞍観光センターと、白骨温泉に通じる乗鞍スーパー林道のゲートに隣接する好立地にあることから、筆者も開業間もない頃から幾度もここを利用してきた。
しかし設備が老朽化したため、2013年4月に道の向かい側に移転し、リニューアルされた。上は懐かしい旧館の写真。圧倒的に広い露天風呂と、お洒落な薪ストーブが印象的だった。
こちらが現在の「湯けむり館」。
外観はガラス張りのモダンなデザインで、外には「足湯」もある。また併設するレストランPRIMAVERAは、パスタとピザに力を入れているようだ。
ただ残念なことに… 以前に比べて新館のお風呂は、内湯が約3分の2、露天風呂に至っては3分の1ほどの大きさになり、どちらも石のタイル貼りの湯船にかわった。
確かにキレイにはなったが、そのぶん風情が失われてしまった感は否めない。かつての檜の内湯と、広い浴槽に乳白色の湯がなみなみと満ちた休館を惜しむ声も多いと思うが、もしかするとお湯の湧出量が減ったのかもしれない。
なおこの規模では、ハイシーズンにはかなりの待ち時間が出ると予想される。
休憩室には寝転べるスペースも用意されている。
ちなみに、乗鞍観光センターのバスチケット売り場の窓口に、この割引券が置いてあり、誰でも自由にもらうことができる。それで100円引きはありがたい。またお得な食事セットもあるようだ。詳しくは下のオフィシャルサイトで確認を。
乗鞍高原 湯けむり館
〒390-1513 長野県松本市安曇鈴蘭4306-6
0263-93-2589
料金:大人720円(中学生以上)
営業時間:9:30~21:00(受付終了20:00)
毎月第3火曜日または第4火曜日定休
ちなみに「湯けむり館」から少し道を下ったところに、「せせらぎの湯」という無料の湯小屋があるが、定員は3名がギリギリ。
また乗鞍高原温泉郷には、公共施設の湯けむり館より安い料金で外来利用ができる温泉宿がいくつかある。