車中泊旅行歴25年のクルマ旅専門家がまとめた、2023年10月現在のクルマでめぐる志摩半島の見どころと車中泊に関する情報です。
「正真正銘のプロ」がお届けする、リアル車中泊旅行ガイド
この記事は、車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、全国各地からセレクトした「クルマ旅にお勧めしたい100の旅先」の紹介です。
※ただし取材から時間が経過し、当時と状況が異なる場合がありますことをご容赦ください。
~ここから本編が始まります。~
志摩半島は、”行き当たりばっ旅”では周れない。
志摩半島の筆者の歴訪記録
※記録が残る2008年以降の取材日と訪問回数をご紹介。
2010.01.24
2013.02.03
2014.09.27
2023.10.12
※「志摩半島」での現地調査は2023年10月が最新です。
志摩半島ドライブ&観光ガイド
「志摩半島」の概要と攻略法
「的矢湾」「英虞湾」「五ヶ所湾」の3つの湾内に、小さな島・岬・入り江(溺れ谷)がひしめく「志摩半島」。
あまりにも海岸線が複雑すぎて、あの「伊能忠敬」が、日本地図作成のための測量に苦労したという逸話が残る。
そのため昔から沿岸部では水産業が盛んで、伊勢湾ではノリ、「的矢湾」ではカキ、そして「英虞湾」では真珠やアオサの養殖が行われてきた。
また近年は、その風光明媚な景観が見られる高台に、ホテルやテーマパークが進出し、一大リゾートエリアを形成している。
さて。
この記事の本題はその「志摩半島の観光」だが、それにしてもまあ(笑)、どのマップを見ても、目移りするほどのスポットが記載されているため、簡単には”行くべきところ”が見極められないのが実情だ。
ここまで載せられると、ネットで”シラミ潰し”に調べることもままならず、最後は「えいや~」の”出たとこ勝負”にならざるを得ないわけだが、それで満足がいく結果が得られるのなら、誰も苦労はしない(笑)。
そこで車中泊旅行歴25年、日本一周はもちろん、縦断なら10回以上の経験を持つ筆者が、絶対に外したくないポイントをピックアップした。
この手の観光地には類似するコンテンツが多く、それをどう精査して”ナンバーワン”と”オンリーワン”を見抜くかの手腕が問われる。
しかもそれは、”あくまでも車中泊の旅人にとって”というのが大前提だ。
「志摩半島」観光の基軸は、屈指の絶景を誇る「横山展望台」
「横山展望台」は、俳人「高浜虚子」が、松尾芭蕉が絶賛した”松島”以上と評し、夕日の眺めが良いことから、過去に「ミシュラン・グリーンガイド」で一つ星を獲得した、「志摩半島」屈指の呼び声高い、「英虞湾」の絶景スポットだ。
もちろん筆者も、その「横山展望台」を”絶対に外せないランキング”の1位に挙げているわけだが、当然ながら万人に大人気なわけで、何も考えずに行けば、間違いなく渋滞が待っている(笑)。
以下の記事では、本当に行くべき「横山展望台」の見どころと、他のサイトには書かれていない、マイカーアクセスの重要な留意点を具体的に解説している。
「パールロード」の見どころ&グルメスポット
「パールロード」は、鳥羽と志摩を結ぶ全長23.8キロの観光道路で、2006年までは有料だったが、現在は無料で通行することができる。
ただ車窓から海はほとんど見えず、ドライブコースとしては”いまひとつ”。
しかし途中に立ち寄りたいスポットが点在するので、取り上げることにした。
少し途切れてしまって申し訳ないが、このマップのAからBの区間が「パールロード」になる。
前述した「横山展望台」には、「道の駅 伊勢志摩」がある国道167号からのアクセスがお勧めなので、当サイトではBからAに向けて走る想定で解説する。
「パールロード」沿いにある”立ち寄りスポット”で、筆者が選んだのは赤でアンダーラインを入れた以下の3つだが、「的矢湾大橋」の近くに、マップには出ていないが、ランチにお勧めしたいグルメスポットの「的矢かきテラス」があるので、実際は4ヵ所になる。
また「海の博物館」を過ぎると、「パールロード」は鳥羽市内に入っていくが、「鳥羽水族館」を含む市内の見どころは、別途こちらの記事に収録している。
的矢湾大橋
「的矢湾」の内陸部を渡る「パールロード」に架けられた、全長237.6メートルの赤いアーチ型の鉄橋で、展望台に駐車場が用意されている。
展望台からは牡蠣の筏が浮かぶ、のどかな「的矢湾」の光景がよく見える。
その近くの「的矢大橋北」交差点を右折して、海岸まで続く道を約2キロ下ったところに、三重ブランドに認定された”こだわりの牡蠣”が食せる「的矢かきテラス」がある。
的矢かきテラス
「的矢かきテラス」は、画期的な方法で牡蠣の生食を可能した「佐藤養殖場」が、2022年1月に敷地の中にオープンした直営レストランだ。
もちろん最大のセールスポイントは、「佐藤養殖場」が自信をもって提供する「清浄的矢かき」の生をはじめ、的矢湾育ちの牡蠣が1年を通じて食べられること。
以下の記事には、食レポとともに「佐藤養殖場」のサクセスストーリーについても触れている。
「鳥羽展望台」
本来なら、「箱田山(はこだやま) ドライブイン」とでも命名しておいてくれれば分かりやすかったのだが、ここは「パールロード」が開通する際に、その道中で太平洋を望む休憩スポットを作るべく、箱田山を整地し、レストハウスと展望台を設けたのが始まりだ。
ご覧のように駐車場は広大で、250台が収容でき、レストハウスと通じるトイレには、ウォシュレットが完備されている。
ただし、ここでは車中泊はできない。その理由はのちほどわかる。
レストハウスは約20年前に民営化され、「食国蔵王(おすくにくらおう)」として営業してきたが、2022年12月にカフェと・ショップを併設した「鳥羽展望台 海女のテラス」にリニューアルされている。
「パールロード」には、物販飲食施設のある休憩所がここしかないので、とりあえず加えておいたが、土産品は品数も少なく、ちょっと割高に感じた。
正確に云うと、この施設の見どころは「鳥羽展望台」ではなく、その周囲を取り巻く「箱田山園地」だ。
遊歩道が設けられた園内には、山口誓子の句碑や、鳥羽市出身の鳥羽一郎・山川豊兄弟の楽曲「兄弟酒」の歌詞が刻まれた本の形の石碑があり、それらとともに海の景色が楽しめる。
最後に展望だが、確かに「パールロード」が山の中を縫うように走るのは見えるが、絶景はさすがに”言い過ぎ”だな(笑)。
鳥羽市立 海の博物館
鳥羽市が設置し、公益財団法人東海水産科学協会が指定管理者として運営する「海事博物館」で、以下の4つのテーマを活動の柱にしている。
●海に生きる人々 – 海民
●船 – 木造船の世界
●魚介藻を獲る – 漁具と漁法
●海の環境を守る – 汚染の現状
展示品は三重県の海沿いの地域、特に志摩半島から熊野灘沿岸の漁村を中心に収集されているが、漁具など約6万点の中には、6,879点の重要有形民俗文化財を含み、館内には日本各地から集めた約80隻の木造船も並んでいる。
特徴的なのはその外観で、周辺地域の漁村風景に溶け込んだ意匠になっている。
実は、創立当初は鳥羽市街地の近くにあったのだが、1985年(昭和60年)に文化庁の補助を受けて、まず収蔵庫を現在地に新築移転し、1992年(平成4年)に全面移転を果たした。
移転前は塩害に苦しんでいたことから、外装材には極力金属を用いず、全ての建物の屋根が日本瓦葺きとなっている。
ここはあまり知られていないようだが、鳥羽の歴史と文化がとてもよく分かる、素晴らしいミュージアムで、800円の入館料が本当に安く感じられた。
志摩半島の車中泊事情&スポット
次は車中泊の話になるが、「志摩半島」の車中泊事情は、そう悪くはないが「簡単」というわけでもない。
もっともわかりやすくて評判がいいのは、写真の「道の駅 伊勢志摩」だろう。
記事にも書いているが、「道の駅 伊勢志摩」で車中泊をするなら、「伊勢神宮」参拝の「後泊」がベストだ。
内宮から一本道の「伊勢道路」(三重県道32号)を通って、約18キロ・クルマで25分ほどで到着でき、翌朝は「横山展望台」まで、6キロ・10分ほどで行ける。
ゆえに「伊勢・志摩」と旅をするなら、車中泊地は「道の駅 伊勢志摩」一択と云っても過言ではない。
問題は予想通り、ハイシーズンは正規の駐車場が夜間も満車になること。
夜の9時や10時に現地入りすると、24時間トイレからかなり離れた、臨時駐車場で泊まることになるだろう。ただ臨時駐車場は広く、あぶれることはなさそうだ。
それ以外では?
「志摩半島」を時間をかけて周る人には、混まないところを探したい想いがあると思うが、「志摩半島」には他に道の駅はなく、半島内に高速道路も通っていないため、初心者が気づくとしたら、前述した「パールロード」最大の休憩施設である「鳥羽展望台」になると思う。
だが、ここは夜間閉鎖される。
夜やって来て、爆音を鳴らしながらウィリーの練習をするのに、ここほど都合のいいロケーションはないからね(笑)。
なお、どうしても「パールロード」にこだわるのなら、もう少し南の「面白展望台」に、きれいなウォシュレット付きのトイレと、奥まった駐車場がある。
しかし、心配御無用。
「志摩半島」には、他にもっといい車中泊スポットが隠れている。
「志摩半島」の南端近くで、車中泊が無料でできるのは「ともやま公園」だ。
ここは「横山展望台」と並ぶ「英虞湾」の絶景スポットだが、コンテンツが重複するので”お勧めの見どころ”からは外しているが、アクセス・環境ともに車中泊には適している。
最後は電源が使える場所だが、「志摩半島」の南部では、下で紹介している絶景のビーチ「御座白浜」の近くに、高規格の「志摩オートキャンプ」がある。
ただコスパは、「鳥羽水族館」から約3キロ・10分ほど離れた「鳥羽シーサイドホテル」の敷地内に、2022年10月にオープンしたRVパークのほうが良さそうだ。
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時間があるなら立ち寄りたい、その他の見どころ
筆者の体験上、「伊勢神宮」参拝後に「道の駅 伊勢志摩」で車中泊し、翌日「横山展望台」から志摩半島の観光を始めるのなら、これまでに紹介した場所を周るだけで、ほぼ1日が終わると思う。
京阪神あるいは中京地域からの1泊2日の週末旅なら、帰宅までの時間を考えると、若くてもむしろそのくらいが賢明だ。
なので「伊勢・二見・鳥羽」と「志摩半島」を、ひとつのパッケージにまとめた「伊勢志摩 車中泊旅行ガイド」を、別途こちらに用意している。
したがってここからは、時間に余裕があって、それ以上に志摩半島を見て周りたい人へのプレゼンになる。
御座白浜
「志摩半島」の景色と云えば、リアス式海岸のイメージが強いのだが、南の先端部には、沖縄かと思うほどの透明度を誇るビーチが広がっている。
筆者がこの「御座白浜」を初めて訪ねたのは、今から50年前(笑)。
当時は中学生だったが、日頃見ていた津市の御殿場海岸との、あまりの違いに、言葉を失ったことを鮮明に覚えている。
もちろん地元の人からすれば、当時に比べれば明らかに美しさは損なわれているのだろうが、このロケーションなので、それでも圧巻と呼べる透明度を保っている。
なお、海の青さと透明度が際立って撮れるのは午前中だ。またここでは、海に沈む夕陽も見られる。
ただし、夏は行かないほうがいい。
環境省が選定した「快水浴場百選」に選ばれるほどのビーチを、人が放っておくわけがないからね!(笑)。
国府の浜(こうのはま)
あわせて、もうひとつ行きやすくて綺麗な遠浅のビーチを挙げておこう。
時間的に「御座白浜」が難しくても、ここなら行ける人もあるだろう。また「国府の浜」は近畿・東海在住で、波乗りが趣味な人には、馴染みのところだと思う。
「国府白浜(こうしらはま)」とも呼ばれるこちらビーチは、サーフィンが盛んになるまでは、大粒のハマグリが採れるいい漁場だったらしいのが、今はすっかり湘南チックになっている(笑)。
場所は「志摩パークゴルフ場」のすぐ近く。パークゴルフの料金は1回800円で、1日なら1200円だ。
パークゴルフは北海道を旅する人にはお馴染みの、スポーツというよりはレジャーに近い遊びだが、プレイするなら休憩ついでに、ビーチも覗いてみるといい。
サーフィンを眺めるのは、パークゴルフと同じで、やるとなかなかおもしろい。
安乗埼灯台(あのりさきとうだい)
「安乗崎」は「的矢湾」の入口にある岬で、周囲には暗礁が多く、古くから「大王崎」「鎧崎」とともに「志摩三崎」と呼ばれる”海の難所”で知られていた。
そんな「安乗崎」に白亜の四角形をした灯台が建てられたのは、1873年(明治6年)4月。伊勢から熊野の間では、もっとも早い点灯だったという。
「日本の灯台50選」にも選ばれ、国の登録有形文化財に登録されている、現在の「安乗崎灯台」は、一般公開(大人300円)されている”参観灯台”で、手前にはクルマが数台駐められる無料駐車場もある。
また周囲は公園化されており、園地の一画には、灯台とセットで見学できる「灯台資料館」があり、「安乗崎灯台」の歴史と機能・役割などが展示されている。
〒517-0507
三重県志摩市阿児町安乗794-1
☎0599-47-5622
おとな300円
3月~10月:土日祝 9時~16時30分(平日は16時まで)
11月~2月:全日 9時~16時
年中無休(天候により休館あり)
大王埼灯台
「安乗崎灯台」と同じく「志摩三崎」に建つ、1927年10月操業の「大王埼灯台」も、「日本の灯台50選」に選定されているほか、「大王埼灯台・門柱及び塀」として国の登録有形文化財に指定されている。
またこちらも「参観灯台」で、1階がミュージアムになっており、灯台頂上の展望エリアからは、海を一望することができる。
ただ専用の駐車場はなく、市営の「大王埼観光駐車場」から灯台までは、土産屋が点在する道を10分ほど歩く必要があるのだが、実がそれがここのお楽しみだ。
こういうのがないと、海の観光地にきた気がしないのは筆者だけかな(笑)。
〒517-0603
三重県志摩市大王町波切54
☎0599-72-1899
おとな300円
3月~10月:土日祝 9時~16時30分(平日は16時まで)
11月~2月:全日 9時~16時
年中無休(天候により休館あり)
最後に。
これらも観光ルートに加えたい場合は、「ともやま公園」から一度「御座白浜」に出て、それから「大王埼灯台」「国府の浜」「安乗埼灯台」と駒を進めると、「的矢湾大橋」で、推奨ルートに合流できる。
本当にワンデイでは周れないの?
筆者も30代なら、やるかもね(笑)。
伊勢志摩 車中泊旅行ガイド
※以下の記事は外部リンクではなく、すべてオリジナルの書き下ろしです。
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