伊勢神宮の「おはらい町」と「おかげ横丁」の歴史と、見どころ&食べどころ【クルマ旅のプロが解説!】2023年12月

おかげ横丁 ミュージアム

車中泊旅行歴25年のクルマ旅専門家がまとめた、伊勢神宮の「おはらい町」と「おかげ横丁」の歴史と、その見どころと食べどころをご紹介。

「正真正銘のプロ」がお届けする、リアル車中泊旅行ガイド

この記事は、車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、全国各地からセレクトした「クルマ旅にお勧めしたい100の旅先」の紹介です。

※ただし取材から時間が経過し、当時と状況が異なる場合がありますことをご容赦ください。

スポンサード・リンク

 

~ここから本編が始まります。~

伊勢神宮参拝の楽しみは、「鳥居前町」のぶらり歩きとソウルフード。

伊勢神宮 おはらい町

伊勢神宮の筆者の歴訪記録

※記録が残る2008年以降の取材日と訪問回数をご紹介。

2010.01.24
2013.02.03
2014.09.27
2023.10.13
2012.12.10

※「伊勢神宮」での現地調査は2023年12月が最新です。

伊勢神宮の「おはらい町」と「おかげ横丁」

赤福氷

「おはらい町」の歴史と概要

「おかげ横丁」は平成生まれ

「おはらい町」と「おかげ横丁」の
お勧めソウルフード

赤福

伊勢うどん

手こね寿司

豚捨

必要なものが勢揃い! 楽天市場の「車中泊グッズ」大特集 
スポンサード・リンク

 

「おはらい町」の歴史と概要

おはらい町

皇大神宮こと、伊勢神宮の「内宮」に通じる鳥居前町一帯は、「おはらい町」と呼ばれているが、その由来は江戸時代に遡る。

俗に云う「おかげ参り」が大流行した江戸時代の「伊勢神宮」は、特に江戸の庶民の憧れの地だった。

歌川広重「伊勢参宮・宮川の渡し」 出典:ウィキペディア

「おかげ参り」は、1705年(宝永2年)に362万人、1771年(明和8年)には200万人、そして最大規模となる1830年(文政13年)には、実に427万人の参宮者があったという記録が残されている。

当時の日本の人口は2500~3000万人と云われており、船以外の交通機関のない時代に、日本人の10人に1人が伊勢まで足を運んだことになるのだから、驚くべき数字と云うほかあるまい。

出典:ブラお伊勢

その動員に一役買っていたのが、「御師(おし)」と呼ばれる下級神官だ。

「御師」は今でいう旅行代理店やツアーコンダクターのような存在で、各地を巡って伊勢参拝を勧誘し、参拝者にはその案内に加えて宿を提供し、「御祓い」まで行っていたという。

その「御祓い」をする館が立ち並んでいたことから、鳥居前町はいつしか「おはらい町」と呼ばれるようになった。

おはらい町

五十鈴川に沿って、「内宮宇治橋」から北へ800メートルほど続く「おはらい町通り」には、江戸から明治にかけての伊勢路の代表的な建築物が再現され、昔ながらの風情を残した、約100軒の土産物屋や飲食店が軒を連ねて、往時の「おかげ参り」の雰囲気を演出している。

おはらい町

しかもそれを損なわないよう、銀行や郵便局、コンビニ、さらにスターバックスコーヒーも、木造で意匠統一されている。

「おかげ横丁」は平成生まれ

おかげ横丁

そんな歴史を持つ「おはらい町」と、その中ほどに入口がある「おかげ横丁」は、実はまったくできた時期が異なることをご存知だろうか?

おかげ横丁

今では有名なグルメの店が集まっている「おかげ横丁は、1993年(平成5年)の第61回「神宮式年遷宮」の年に開業した、いわば”お伊勢参りのテーマパーク”みたいな存在だが、おそらく旅行者には「おはらい町」との境界が分からず、気づかないうちに足を踏み入れていると思う(笑)。

妻入り

再生された「おかげ横丁」の建物は、屋根の両端が山形になった「瓦の切妻屋根」と、建物の妻面(端側)に入口を設け、それを正面とする「妻入り」の、伝統的な日本家屋の建築様式が基本になっている。

伊勢神宮

「伊勢神宮」の正殿は入口が軒先側にある「平入り」で、同じでは恐れ多いとの思いから、「妻入り」が普及したといわれているが、伊勢の代表的な建築様式を間近で見られることも、大人には「おかげ横丁」の着目点のひとつだろう。

おはらい町

なお、同じ建築様式は「おはらい町」でも見られるが、インスタ的見地に立つなら、このように遠近感のある写真が欲しいなら「おはらい町」で、

おかげ横丁

逆に建築様式にスポットを当てた写真が撮りたければ「おかげ横丁」で狙うといい。

赤福本店

さて。

「おかげ横丁」が作られた背景には、明治以降に「御師」制度が廃止され、観光バスや自動車での参拝客が増えたことによる、「おはらい町」の衰退があるのだが、その難局打開に大いなる貢献を果たしたのが、誰もが知る老舗の和菓子店「赤福」だ。

なお長くなるので、その詳しい内容は後述する「赤福」の別記事に掲載している。

「おはらい町」と「おかげ横丁」のお勧めソウルフード

おかげ横丁

前述したように、特に初めてここに来た旅行者には「おはらい町」と「おかげ横丁」の区別はつきにくく、実際にはひとつと考えて問題はない。

それより大事なことは、伊勢まで来た以上「伊勢のソウルフードのおいしい店」に足を運ぶことだと思う。

「伊勢にあるスイーツの美味しい店」と「伊勢のスイーツが美味しい店」は、似て非なるもの。ここが整理できていないガイドブックは少なくない。

ということで当サイトでは、ありきたりかもしれないが、後者を改めて紹介したい。

赤福

赤福餅

誰もが知る伊勢の名物「赤福(餅)」の、”作りたて”が食べられる「おはらい町通り」に面した「赤福本店」は、五十鈴川に架かる新橋のたもとにある。

下では「赤福餅」以外の季節限定メニューも紹介しているが、同時に「赤福」が老舗たる所以についても言及している。

伊勢うどん

伊勢うどん ふくすけ

太くてコシのない柔らかな麺と、出汁の効いた黒いたれ(つゆ)が特徴的な「伊勢うどん」は、伊勢市民のソウルフードで、一般的なうどんとは、”かけ離れた食感”を持っている(笑)。

おかげ横丁 ふくすけ

筆者は「おかげ横丁」の「ふくすけ」でいただいたのだが、ここは席数が多いので待ち時間が少なくて済んだ。

おかげ横丁 ふくすけ

それでもこの行列(笑)。

とはいえ「おはらい町」でも「おかげ横丁」でも、多くの店が用意しているので、食べ損なう心配はないだろう。

ただし、博多のように柔らかいうどんを好む地域の人には、受け入れられやすいと思うが、四国や近畿のように「うどんはコシが大事」と思っている土地柄の旅人には、ちょっと難しいかもしれない。

伊勢うどん ふくすけ

筆者もその中のひとり。

なので2度目は、わずかでも粘りが加わる「月見」を選んだ(笑)。

手こね寿司

手こね寿司 すし久

漁師が船の上でとれた魚を捌き、手で混ぜあわせたことから「てこね寿司」と呼ばれるようになった、三重県を代表する郷土料理のひとつで、「農山漁村の郷土料理百選」にも選ばれている。

地元でよく穫れるカツオやマグロなどの赤身の刺身を、醤油などでつくったタレに漬け込み、飯切りにいれた酢飯の上に並べて、しそや海苔などの薬味を上にちらすのが一般的だ。

おかげ横丁 手こね茶屋

こちらも「伊勢うどん」と同じく、「おはらい町」でも「おかげ横丁」でも、多くの店が用意している。

手こね寿司

筆者は取材で両方セットで定食にしている「おはらい町」の「奥野家」でいただいたが、評判通り「手こね寿司」は美味しかった(笑)。

他にも買い食いをするなら、中高年にはこのくらいでちょうどいいと思う。

豚捨

豚捨

「豚捨」は伊勢市にある和牛の老舗で、「おかげ横丁」の奥まったところにあるため、ちょっと見つけにくいかもしれない。

豚捨

比較的値頃に、「牛丼」や「牛鍋」が食べられる食事スペースは2階にある。

豚捨

ただ手軽で人気なのは、テイクアウトできるコロッケ&ミンチカツだ。

おかげ横丁 豚捨

コロッケ120円も和牛のいい香りがするが、筆者の推しは断然ミンチカツ300円。

硬すぎず柔らかすぎず、冷めても十分に美味しく思えた。いずれもソースなしで、そのまま食べられる。

豚捨 行列

ただし休日は、開店前からこの状況。うそやろ~!ということでリピートは断念。

スポンサード・リンク

 

伊勢神宮 車中泊参拝ガイド

車中泊で行く伊勢神宮

※記事はすべて外部リンクではなく、オリジナルの書き下ろしです。

おはらい町
日本人によく分かる「お伊勢参りの話」
伊勢神宮参拝時の留意点と外宮・内宮の見方・見どころをご紹介。
外宮
伊勢神宮最大の謎は外宮の存在。「豊受大神」の実像とは? 
伊勢神宮の「外宮」に祀られている「豊受大神」のルーツを詳しくご紹介。
伊勢神宮
大人の伊勢神宮との向き合い方
「考古学」と「歴史学」から見た、伊勢神宮の創建にまつわるお話です。
おかげ横丁
「おはらい町」と「おかげ横丁」の歴史と、お勧めのソウルフードをご紹介。
赤福本店
赤福本店 ”行く前に知っておきたい”いい話
「おはらい町通り」にある「赤福本店」の食レポと、その知られざる秘話をご紹介。
伊勢神宮の市営駐車場の詳細と個別車中泊事情
伊勢神宮周辺の市営駐車場とその車中泊事情を個別に詳しくご紹介。
伊勢神宮 B4駐車場
伊勢神宮参拝に使える車中泊スポット7選
伊勢神宮参拝の「前泊」と「後泊」に適した、7つの車中泊スポットを一挙公開。

伊勢志摩 車中泊旅行ガイド

車中泊で旅する伊勢志摩

車中泊で旅する伊勢志摩
最新情報満載! 伊勢志摩 車中泊旅行ガイド
松坂・伊勢・二見浦・鳥羽そして志摩半島をめぐる車中泊旅行ガイドのトップページです。
おはらい町
日本人によく分かる「お伊勢参りの話」
伊勢神宮参拝時の留意点と外宮・内宮の見方・見どころをご紹介。
おかげ横丁
伊勢神宮の「おはらい町」と「おかげ横丁」の見どころ
伊勢神宮「内宮」の門前町の見どころと食べどころをご紹介。
伊勢神宮 B4駐車場
伊勢神宮の参拝に利用できる車中泊スポット6選
伊勢神宮参拝の「前泊」と「後泊」に適した6つの車中泊スポットを一挙公開。
二見浦 夫婦岩
伊勢の二見浦の見どころ・アクセス・駐車場&車中泊事情
伊勢神宮にゆかりの深い、二見浦興玉神社と夫婦岩に関する記述です。
鳥羽の見どころと、クルマ旅での活かし方
二見浦から近い鳥羽の見どころと、関東方面からショートカットできるアクセスルートをご紹介。
鳥羽水族館 ラッコ
鳥羽水族館の”推し”は、ラッコとジュゴン。
希少海洋動物のラッコとジュゴンが見られる、鳥羽水族館を詳しくご紹介。
ともやま公園 桐垣展望台
クルマでめぐる志摩半島の見どころ
クルマでめぐる志摩半島の見どころを詳しくご紹介。
横山展望台
志摩半島のベスト絶景スポット「横山展望台」 リアルアクセスガイド
志摩半島屈指の絶景を誇る「横山展望台」への、マイカーアクセスを含めた、実戦に基づくリアルな観光情報です。
的矢かきテラス
伊勢志摩の絶品グルメに舌鼓! 的矢かきテラス(佐藤養殖場)
三重ブランド「的矢かき」が食べられる佐藤養殖場直営店「的矢かきテラス」の食レポです。
松阪城下町 中高年車中泊旅行者のための半日観光ガイド
冬の伊勢参りに抱き合わせたい松坂市内の見どころをご紹介。
松阪・伊勢・志摩半島 関連記事一覧
松阪・伊勢・志摩半島 関連記事一覧
これまでに取材してきた松阪・伊勢・志摩半島に関するすべての記事の一覧です。
タイトルとURLをコピーしました