車中泊旅行歴25年のクルマ旅専門家がまとめた、2023年10月現在の希少なラッコとジュゴンか見られる鳥羽水族館に関する情報です。
「正真正銘のプロ」がお届けする、リアル車中泊旅行ガイド
この記事は、車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、全国各地からセレクトした「クルマ旅にお勧めしたい100の旅先」の紹介です。
※ただし取材から時間が経過し、当時と状況が異なる場合がありますことをご容赦ください。
~ここから本編が始まります。~
希少な海洋動物を展示している「鳥羽水族館」は、入場者の8割を「おとな」が占めるマリンミュージアム。
鳥羽水族館 DATA
鳥羽水族館
〒517-8517
三重県鳥羽市鳥羽3-3-6
☎0599-25-2555
おとな2800円
駐車場代 別途800円
9時~17時(受付最終16時)
年中無休
鳥羽水族館の筆者の歴訪記録
※記録が残る2008年以降の取材日と訪問回数をご紹介。
2023.10.13
※「鳥羽」での現地調査は2023年10月が最新です。
鳥羽水族館
「鳥羽水族館」のロケーションと車中泊事情
まずは、「鳥羽水族館」のロケーションの話から始めよう。
マイカーで行動する車中泊の旅人は、いくら素晴らしい施設であっても、クルマで行けなかったり、行きづらい場所にあるところには足が向かない。
水族館がある「鳥羽」の町は、「伊勢神宮」と「二見浦」から近く、1泊2日で”お伊勢参り”をしたい人には、ちょうどいい”抱き合わせ”先になる。
続いて鳥羽の市街地に目を移すと、「鳥羽水族館」は「鳥羽駅」から近い国道167号沿いにあり、周辺には「鳥羽マルシェ」や「ミキモト真珠島」などの観光スポットも揃っているので、鳥羽の中心部をまとめて観光することができる。
その際の車中泊地としては、約10キロ・クルマで15分ほど離れた「二見浦」の2つの無料駐車場がお勧めだ。
ちなみに「鳥羽水族館」の見学後に車中泊をする場合は、鳥羽駅前にある「戸田家」が日帰り入浴を受け付けており、以下のサイトにあるクーポンを提示すれば、1500円が1000円に割引される。
また近くに「イオン鳥羽店」もあるので、買物にも不自由はない。
なお電源が必要なら、「鳥羽水族館」から約3キロ・10分ほど離れた「鳥羽シーサイドホテル」の敷地内に、RVパークが2022年10月にオープンしている。
これでロケーション的には、「鳥羽水族館」が伊勢の車中泊旅行の”旅先”に組み込みやすいことが、ご理解いただけたと思う。
続いて、「鳥羽水族館」のユニークなコンテンツを紹介しよう。
「鳥羽水族館」の概要と特性
建物全長約240メートル、通路全長約1.5キロと、室内型水族館では他に類を見ない広さを誇る「鳥羽水族館」は、約1200種の展示生物を有する、日本屈指の水族館だ。
開業は1955年(昭和30年)。
それでも国内で26番目の水族館になるそうで、日本の水族館の歴史は思っているより古かった。
開館のきっかけは、「ミキモト真珠島」を訪れる観光客が、船で真珠島に渡る際に、対岸の高級魚を扱う海産物問屋「丸幸水産」の生け簀に興味を抱き、帰りにそれを見学に来たことによるという。
当初は現在地より西寄りにあったが、手狭になったため、神鋼電機の旧鳥羽工場用地だった現在地を譲り受け、1994年(平成6年)4月に全館移転オープンを果した。
現在は国内第1位の大阪市にある「海遊館」に次ぎ、通算6000万人を超える入館者数を誇っているそうだが、興味深いのは、入館者の8割を大人が占めているという話。
「鳥羽水族館」では、早くから絶滅危機にある希少海洋生物の保護・育成に力を入れており、日本初のラッコ2世の誕生、ジュゴン及びオウムガイ飼育の世界記録などを保持している。
ただ正直なところ、「鳥羽水族館」の魚の展示は平凡で、展示施設そのものも”昔臭さ”が否めない。
そのため、
”これで、大人ひとり2800円の入場料に、駐車代800円は高すぎる!”
と思わないではないが、入場料のうちの半分が、ラッコやジュゴンのような希少動物を見るための料金と思えば、筆者は納得できる。
云い換えれば、そこに興味がなければ、ここは高いと感じて当然だ(笑)。
もっと云えば、「水族館」というより「マリンミュージアム」と呼ぶほうが、まだ誤解を受けずに済むかもしれない。
日本でラッコが間近に見られるのは、もはや2つの水族館だけ!
ラッコは1980~90年代にかけてのピーク時には、全国の水族館に122頭いたのだが、2023年8月現在は、「鳥羽水族館」と福岡県の「マリンワールド海の中道」に、合わせて3頭がいるだけだ。
激減した背景には、生息地である米国からの輸入ができなくなり、加えて国内での繁殖に成功できなかったことがあるという。
残った3頭は、「鳥羽水族館」にいる15歳のキラと19歳のメイ(いずれもメス)、そして「マリンワールド海の中道」にいる16歳のリロ(オス)で、いずれも人間ならば80歳越えの高齢になる。
そのため新しく赤ちゃんが生まれる可能性は極めて低く、”日本でラッコを見るなら今しかない!”と実しやかに云われている。
だが、実は日本で野生のラッコが繁殖していることをご存知だろうか?
野生のラッコが見られるのは、北海道の根室に近い「霧多布岬」の沖合で、日によって居場所は変わるが、双眼鏡があれば個体を確認することはできる。
その霧多布で今、ラッコのベビーラッシュが起きているというから驚きだ。
2017年から本格的に観察を続ける地元のNPO法人エトピリカ基金によると、繁殖が初めて確認されたのは2018年の春で、その後メス2頭が子育てしていたが、2023年6月に3頭目、7月上旬に4頭目の出産が確認され、岬周辺での生息数は最大14頭になっているという。
筆者は2021年と2022年の夏に、現地まで観察に出かけてきたのだが、いちばん大きく撮れたのがこの写真。
ただしニコンが開発した野鳥撮影用のデジカメラを使用し、一眼レフの35ミリ換算だと、1000ミリ以上の超望遠で撮影した。
とはいえ、霧多布の陸地から、ここまでリアルに表情を撮影するのは不可能だ。
その意味で「鳥羽水族館」は楽しかったが、さすがにラッコのショーには、複雑な想いが隠せなかった(笑)。
確かにその知能の高さには驚かされたが、仕込まれた”あざと可愛さ”を、手放しで喜ぶ気にはなれない。
なお、ラッコのお食事&ショータイムは、9:40~ ・13:00~(貝のみ) ・16:20~の1日3回だが、平日でも1時間前に最前列は埋まってしまうようだ。
筆者は15時過ぎにラッコの水槽に行き、”かぶりつき”で待つことおよそ1時間。さらにショーの時間を加えると、1時間半がかりでご覧の写真を撮ってきた。
なお土日は、ショー以外の時間でもラッコの水槽前で立ち止まることができないほどの人気らしい。
ゆえに行くなら平日がお勧めだが、これでは霧多布と苦労は変わらない(笑)。
本当は13時からの部が見たかったのだが、伊勢神宮での取材に手間取り、間に合わず…。やっぱりラッコは、この仕草がいちばん可愛い。
日本でジュゴンが飼育されているのは、「鳥羽水族館」だけ!
続いては、ラッコ以上の世界的な絶滅危惧種とされているジュゴンについて。
人魚伝説のモデルで有名なジュゴンを、日本で飼育できているのは「鳥羽水族館」だけだが、世界でも3つの水族館でしか観ることができない。
沖縄は世界中でジュゴンが暮らす北限とされているが、現在生き残っている個体数は50頭以下といわれており、環境省のレッドリストでは最高ランクの絶滅危惧IA類 (CR)に、また天然記念物にも指定されている。
それにしても…
この癒やし感は半端ない。
”人生、ジュゴンくらい、大らかに伸びやかに生きたいものだ”と、この子が思うには、さすがに早すぎるかもしれないが(笑)。
ちなみに「鳥羽水族館」で暮らすセレナはメスで、今年37歳。ジュゴンの寿命は50年~70年くらいと云われているので、こちらはまだ当面大丈夫そうだ。
なお「鳥羽水族館」には、同じ海牛類のアフリカマナティーも暮らしている。
こちらも日本で見られるのはここだけだが、ジュゴンとマナティーは、カラダの色としっぽの形がまったく違うので、見間違うことはないだろう。
最後に。
「鳥羽水族館」では、館内の見学に順路を設定していない。
リピーターで、一目散にお目当ての生き物に会いに行きたい人には都合がいいのだろうが、初めて来た人にとっては、迷いやすく、また展示を見落としやすいデメリットも感じた。
ゆえに行くなら事前に、見たい生き物に優先順位をつけておくほうがいい。
でも普通、そこまでやる?(笑)
筆者は、どちらかと云えば順路通りに見て回りたいほうなので、ちょっと不完全燃焼ぎみ(笑)。
何も考えずに、次から次へと見て回りながら、「へぇ~、こんな生き物もおったんか~!」みたいな、新鮮な発見が得られる施設のほうが、慣れていることもあって、馴染みやすく思えた。
いずれにしても、ここは個性的というか、オンリーワンでいいんじゃない。
でも確かに孫を連れて行くなら、中学生になってからでいいかもね!
データというのは正直なものだ(笑)。
鳥羽水族館のアクセスマップ
EcoFlow ポータブル電源 RIVER 2 Pro 大容量 768Wh 70分満充電 リン酸鉄リチウムイオン電池 6倍長寿命 高耐...
伊勢神宮 車中泊参拝ガイド
※記事はすべて外部リンクではなく、オリジナルの書き下ろしです。