見落としやすい、冬の車中泊の注意点&安全対策【クルマ旅のプロが詳しく解説】 2024年更新

雪の車中泊車中泊時の寒さ対策

25年以上の車中泊経験を持つクルマ旅のプロが、見落としやすい「冬の車中泊の注意点&安全対策」について詳しく解説しています。

「正真正銘のプロ」がお届けする、リアル車中泊入門ガイド

この記事では、車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、既に1000泊を超える車中泊旅行を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、四半世紀に及ぶ経験を元に、日本各地を車中泊でめぐるための「know-how」を紹介しています。

スポンサード・リンク

 

~ここから本編が始まります。~

「寒さ対策」ばかりに気を取られていると、現場では痛い目に遭う。

車中泊の寒さ対策

下にまとめた「車中泊の寒さ対策」では、いちばん気になる「体感」に関わる話を取り上げているのだが、冬の車中泊にはそれ以外に、「聞けば気づくが自分では見落としやすい盲点」がある。

ビギナーが見落としやすい、冬の車中泊の注意点&安全対策

最初にぶつかる問題は大荷物

車中泊時の問題は「長い夜」

滑るのはクルマだけじゃない

軽油は車中泊前に現地で給油

もっとも警戒すべきは積雪

雪中車中泊時の留意点

降雪時のアイドリングは「自殺行為」

困った時の解氷スプレー

必要なものが勢揃い! 楽天市場の「車中泊グッズ」大特集 
スポンサード・リンク

最初にぶつかる問題は大荷物

車中泊時の収納

寒さから逃れるために「アレが必要」「コレも持って行こう」と考えるのが人の子だが、実際にそれでは車内はモノだらけになって車中泊にならない。

そもそも、夏と冬では衣類のカサが大きく異なる。

もっとも顕著な例はアウターだが、それだけでなく、Tシャツ・短パンはフリース上下に変わり、行先によってはキャップや手袋、ネックウォーマーなどの防寒アイテムも加わってくる。

ダウンシュラフ

また夏はカーテンで済んだ目隠しも、冬はウインドウシェードが必要となり、タオルケットは厚手の毛布やダウンシュラフに入れ替わるだろう。

そうなると荷物が増えた分だけ何かを減らすか小型化させる、もしくは収納方法を大きく変えない限り、車内の居住空間は狭くなるいっぽうだ。

車中泊の収納法

しかし、自分のクルマにマッチする冬の収納方法が確立できれば、それ以外のシーズンは、これまで以上に広々と車中泊ができることになるともいえる。

つまり、「冬を制する者は全てを制す」。

この時期は本格的な車中泊仕様を知る絶好の機会と受け止めよう。

車中泊時の問題は「長い夜」

車中泊 夜

荷物の場合は、少々増えても運転席や助手席、さらにはその足元まで使えば、
なんとか車中泊の旅はできる。

だが、日没が早くて夜明けが遅い冬は、車中泊に要する時間も長くなる。

つまり、旅の行動を含めた熟考が求められるのは、むしろこちらへの対応だ。

それをリアルに示すために、長野県の具体的な数字を比べてみた。

冬の車中泊

1 月31 日
日の出時刻:6 時50 分頃
日の入り時刻:17 時10分頃
7 月31 日
日の出時刻:4 時50 分頃
日の入り時刻:19 時頃

単純比較でも、1月は7月より3時間50分も夜が長い。

さらに夜が明けてからも、道路の凍結が緩むまでは安易に動けないことを加味すれば、実質的には5時間以上は長くなるのが現実だ。

そうなると心配になるのが「電力」だ。

サブバッテリーの電圧

サブバッテリーを搭載していないクルマでも、照明や娯楽には電池を要する。

キャンピングカーの場合は、加えてソーラーの発電時間が短くなるから厄介だ。

頼みのサブバッテリーは、写真の数値が11.0以下になるとリミッターが働き、電気の供給がストップする。

ただ最近は、鉛のディープサイクルバッテリーよりも圧倒的に利用効率の高い、リチウムイオンのサブバッテリーが人気を博している。

滑るのはクルマだけじゃない

車中泊 雪

車中泊でもっとも怖いのは、クルマから降りた瞬間の転倒だ。

これは中高年には耳が痛い話だが、ツルンと滑って打ち身で済んだら、むしろラッキー(笑)。

派手にアスファルトで転ぶと、骨折する危険が待っている。

それを回避する方策は2つある。

ひとつはクルマの駐車位置を選ぶことだ。

これは雨の日にも共通する話だが、駐車場やキャンプサイトでは、敷地の中のいちばん低いところに水がたまる。

それはすなわち、アイスバーンになりやすい環境であることを意味している。

またサービスエリアや道の駅では、夜間トイレに行く際に、軒下や芝生の上など、できるだけ凍ったアスファルトの上を通らずに行ける場所を探そう。

シューズ用滑り止め

もうひとつは履物を選ぶこと。

降雪地帯に行く時は、簡易の滑り止めを持参しておけば不意の凍結時にも重宝する。

多少装着が面倒でも、滑って痛い思いをするよりはマシだ。

それに暖かいクルマの中で装着すれば、手がかじかむこともない。

ビストロ・クロックス

なお筆者は現在クルマの中に、滑りやすい環境で働く料理人や看護師が使用している「クロックス・ビストロ」を入れている。

ただサンダルにしてはちょっと高価なので、普段履きせず、冬専用として家内と共用している。

軽油は車中泊前に現地で給油

ディーゼル給油

ディーゼルエンジン車で、ウインタースポーツを楽しんでいる人なら既に周知と思うが、ガソリンと違って、軽油は寒冷地に行くと凍結する恐れがある。

そのため満タンで出発せず、寝る前に現地で給油するのがセオリーだ。

もっとも警戒すべきは積雪

車中泊 積雪

雪国育ちでなければ、できることなら「雪中車中泊」はしないほうがいいと思うが、それ以上に回避すべきは「夜間の雪中運転」だ。

悪天候が予測される日は、明るいうちに旅を諦め、設備の揃った道の駅やサービスエリアを目指そう。

もしその移動中に吹雪いてきたら、まずはクルマが安全に停められる場所を探し、視界が回復するのを待つほうがいい。

なお運転や車中泊に自信が持てない時は、そこでクルマをあきらめ、タクシーで宿泊施設に向かう判断をするのも英断だ。

路面凍結事故

夜間の雪中運転で起きうる「最悪のシナリオ」がこれ。

たとえ人が無事でも、結果的にクルマを放棄せざるを得なくなる。

雪中車中泊時の留意点

ゲレンデ車中泊

まず駐車する時にワイパーを立て、サイドブレーキは引かない。

気温が極端に下がっている日は、いつも通り、駐車時にサイドブレーキを引いておくと、凍結して元に戻らなくなってしまうことがある。

また木や軒下の近くは、雪塊や氷柱が落ちてくる可能性があるので、クルマを停めないようにしよう。

クルマを直撃されなくても、それが邪魔でクルマから出られなく可能性がある。

降雪時のアイドリングは「自殺行為」

大雪 車中泊

カーエアコンの利用は、命の危険を感じてまで使用を我慢する必要はないという点では、「夏の車中泊の暑さ対策」で書いたことと変わらない。

ただし冬は、逆にそれが「命に関わる」場合がある。

車中泊 一酸化炭素中毒

もし寝ているうちに降雪でマフラーが埋まれば、排気ガスが車内に流れ込み、一酸化炭素中毒に陥る危険がある。

実際にゲレンデや雪国では、それで命を落とす人が後を絶たない。

最近は雪山でなくても、暴風雪によって国道で立ち往生させられることが現実にある時代だけに、「よそごと」では片付けられない話だ。

困った時の解氷スプレー

霜取りスプレー

雪中車中泊にあると便利なものを言い出せばキリがないが、冬の車中泊クルマ旅に出かけるなら、これだけは「保険」と思って持参しよう。

雪が吹きつけられると、ドアミラーにへばりついたり、ドアが開かなくこともある。

スポンサード・リンク

冬の車中泊の寒さ&安全対策

車中泊の寒さ対策

冬の車中泊を支えてくれる、寒さ対策の三本柱【クルマ旅のプロが詳しく解説】 2024年更新
冬の車中泊を支えてくれる、寒さ対策の三本柱【クルマ旅のプロが詳しく解説】 2024年更新
どこより詳しく、説得力のある車中泊の寒さ対策に関する記述です。
冬の車中泊 寒さ対策❶はクルマの防寒
冬の車中泊 寒さ対策❶はクルマの防寒
オーソドックスな車中泊の寒さ対策をご紹介。
冬の車中泊 寒さ対策❷ 「カラダの防寒」【クルマ旅のプロが詳しく解説】 2024年更新
冬の車中泊 寒さ対策❷ 「カラダの防寒」【クルマ旅のプロが詳しく解説】 2024年更新
アウトドアの世界で行われている寒さ対策のご紹介。
ビギナーが見落としやすい、冬の車中泊の注意点&安全対策
ビギナーが見落としやすい、冬の車中泊の注意点&安全対策
ゲレンデでの雪中車中泊を含めた冬の車中泊の注意点と安全対策をご紹介。
冬の車中泊 関連記事一覧
冬の車中泊 関連記事一覧
これまでにまとめた「冬の車中泊」に関連する記事の一覧です。
失敗しない凍結道路と雪道の走り方【クルマ旅専門家が解説】
失敗しない凍結道路と雪道の走り方【クルマ旅専門家が解説】
真冬に失敗しない凍結道路と雪道の走り方を詳しく解説しています。
凍結道路のスリップとスタックの回避と対応策【クルマ旅専門家が解説】
凍結道路のスリップとスタックの回避と対応策【クルマ旅専門家が解説】
凍結道路でスリップとスタックを回避する方法と、脱出する方法の解説です。
凍結している坂道の安全な運転方法【クルマ旅専門家が解説】
凍結している坂道の安全な運転方法【クルマ旅専門家が解説】
冬のクルマ旅につきものの「凍結している坂道」の安全な走り方をご紹介。
冬のドライブ 吹雪・轍(わだち)・シャーベットへの対応法【クルマ旅専門家が解説】
冬のドライブ 吹雪・轍(わだち)・シャーベットへの対応法【クルマ旅専門家が解説】
「吹雪・轍(わだち)・シャーベット」への個別運転対応法を紹介しています。
冬にクルマのガラスとミラーの「くもり」を止める4つの対策【クルマ旅専門家が解説】
冬にクルマのガラスとミラーの「くもり」を止める4つの対策【クルマ旅専門家が解説】
ガラスとミラーの「くもり」を取る、4つの具体的な対策をまとめて記載
「やっちまった時」に使える車両保険は、このタイプ
「やっちまった時」に使える車両保険は、このタイプ
5分で分かる「キャンピングカー」に適した車両保険の説明です。
普通車で扇風機・電気毛布はもちろん、電子レンジも冷蔵庫も使える、現代の車中泊に最適なポータブル電源は、EcoFlow RIVER 2 Pro!

「車中泊旅行者」のための”るるぶ”

車中泊でクルマ旅北海道から九州まで、日本全国の車中泊による旅行情報を収録。
車中泊でクルマ旅 【クルマ旅専門家・稲垣朝則オフィシャルサイト Since1999】
車中泊旅行歴25年のクルマ旅専門家・稲垣朝則がまとめた、「車中泊クルマ旅」に特化した、2023年9月現在の旅行情報サイトです。
目指しているのは、景勝・グルメ・温泉などの情報に車中泊スポットをリンクした、実践的で役立つ「車中泊旅行者」のための”るるぶ”。子育てから開放され、定年後の人生を意識し始める世代の車中泊旅行者に向けたコンテンツです。

この記事がよく読まれています。

車中泊のクルマ旅は、日本の新しい「旅のカタチ」
車中泊旅行歴25年のクルマ旅専門家が、車中泊で旅する魅力をご紹介しています。
車中泊のお勧めグッズ&アイデア 一覧
これまで取材してきた、車中泊のお勧めグッズとアイデアの一覧です。
【車中泊のゴミ対策】道の駅で車中泊旅行中に出るゴミを捨てるのはOK!<クルマ旅のプロが解説 2022年12月更新> 
【2022年12月更新】車中泊旅行歴25年のクルマ旅のプロがまとめた、道の駅での旅行ゴミの処分に関する記述です。
RENOGY(レノジー)リチウムイオン・サブバッテリーの取り付けと載せ替える際の注意点と依頼先
この道25年の現役クルマ旅専門家がまとめた、RENOGY(レノジー)のリチウムイオン・サブバッテリーの、取り付けと載せ替える際の注意点と依頼先の情報です。
オートパッカーの「プロモデル」キャンピングカー ”ハイエースWiz”
車中泊旅行歴25年の現役のクルマ旅専門家・稲垣朝則が実践している、車中泊旅行スタイル「Auto-Packer(オートパッカー)」の、”プロモデル”として使われているハイエース・キャンピングカーWizの実使用レポートです。
スポンサード・リンク
タイトルとURLをコピーしました