このサイトでは、既に車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、20年以上の歳月をかけて培ってきた、オリジナルの車中泊クルマ旅スタイル「Auto-Packer」で、実際に使ってきたグッズとアイデアを紹介しています。
ブヨに噛まれた時は、毒を吸い出すほうが早く治る。
筆者は以前に、車中泊専門誌「カーネル」の中の「Q&Aコーナー」を担当していたことがあるが、そこに寄せられる質問の中で、特に夏に多いのがコレだ。
確かにアウトドアの経験がない人がブヨの洗礼を受けたら、それはもう大変なことになる(笑)。
ブヨってどんな虫?
関東ではブヨ、関西ではブトとも呼ばれるこの手強い害虫は、春から夏(3月~9月)にかけて朝と夕方に活発に活動する。
渓流の近くや山中、またそこに近いキャンプ場などで多く見られるが、幼虫は水質汚染に弱いため、住宅地などではほとんど見られない。それで一般には馴染みが薄いわけだが、そのタチの悪さは蚊どころではない。
なにしろ、蚊と違って皮膚を噛み切って吸血するので、薄い靴下やTシャツの上からでもやられることがある。
ゆえに、河原や湖畔でTシャツに短パン、サンダル姿で酒を飲み、夕涼みをするのは「自殺行為」に等しい。
しかも厄介なことに、吸血直後はそれほど痒みを感じない。
多くの場合、翌日以降に患部が通常の2~3倍ほどに赤く膨れ上がり、激しい痒みが断続的に1~2週間ほど続く。
予防策
予防に関しては、もちろん長袖・長ズボン・靴下・シューズの着用が理想的だが、真夏にそんな格好でいられる場所に、あまりブヨはいないと思う(笑)。
しかし一般的な虫除けスプレーや蚊取り線香では効果が薄く、ハッカ油の水溶液の方が効果は見込める。使い方は空気中に散布するのではなく、袖口や裾に噴霧するほうがいい。
写真のハッカ油スプレーは国産品で安心だが、少し高い。
また現在は、こういう専用アイテムも発売されている。
いっぽう、蚊取り線香では、この「森林香」がブヨを寄せ付けないと云われている。
次は不幸にも噛まれた後の対処について話そう。
噛まれた後の治療法
むしろここからのほうが現実的だ。ブヨは血を吸う際に唾液腺から毒素を注入するため、時間が経つとそれがまわる。
そのため、気づいたらすぐにポイズンリムーバーなどの機器を使って毒を抜いてしまうのが一番だ。上手にできれば2.3日で痒みは収まる。
なお、雑誌などでは下の製品が紹介されていることもあるが、ブヨに対しては上の「エクストラクター・ポイズンリムーバー」の方が使いやすい。
吸引力もさることながら、ブヨの場合は噛まれて腫れると傷口がわかりにくくなることが多く、こちらにはそういうケースを想定して複数の吸着口がセットされている。
最後に、痒み止めにはステロイド系の薬(ステロイド外用薬)を用意しよう。虫除けスプレー同様、普通のムヒなどは全く効かない。


