この記事は、車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、全国各地からセレクトした「クルマ旅にお勧めしたい100の旅先」の紹介です。
グルメと温泉と自然に恵まれた「七尾湾」は、能登半島のリピーターズ・スポット
七尾湾の中にぽっかりと浮かぶ能登島を、まるで包み込んでいるように見えるこのエリアは、輪島や珠洲がある外浦とは対象的に、湖面のように凪いだ海の恵みを享受し、ベテラン車中泊旅行者からの厚い支持を得ている。
穴水・七尾・能登島の観光&車中泊情報【目次】
無料化で活性化した「のと里山海道」
かつては「陸の孤島」のような場所だったが、金沢から「千里浜なぎさドライブウェイ」のある羽咋(はくい)を通って、輪島や七尾に向かう「能登有料道路」が、2013年に「のと里山海道」に名を変え、無料化されて以降、観光化が加速度的に進んだ。
さらに現在は「七尾氷見道路」が全線開通したことで、富山方面からの利便性も向上している。
「七尾氷見道路」は、高規格幹線道路として整備が進められている「能越自動車道(石川県輪島市〜富山県砺波市)」のうち、石川県七尾市〜富山県氷見市間の28.1キロで、高岡インターから七尾インターまで無料で通行できる。
「能登ガキ」で名を馳せた穴水(あなみず)
Coast table(コーストテーブル)
コースト・テーブルは、この地に移住してきた若い牡蠣漁師が、夫婦で営むこじんまりした食堂で、店の裏が船着き場になっている。
写真は、今やこの地方のブランド海鮮となった「能登ガキ」。
穴水の海には豊かな山の滋養が流れ込み、牡蠣は1年で出荷できるサイズにまで成長する。
コースト・テーブルでは、定番の焼き牡蠣や牡蠣フライのほかに、都会的なオリジナルのスパイスを使ったアヒージョなども食べられる。
加賀藩御用達の湯治場「和倉温泉」を抱える七尾
七尾には、江戸時代まで「涌浦」と呼ばれ、加賀藩によって湯治場に整備された和倉温泉がある。
和倉温泉は知らなくても、「プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」の総合部門で36年連続1位にランクされている、「加賀屋」を知る人は多いだろう。
野生のイルカ家族が棲みついた能登島
2本の橋が架けられ、無料で行き来できるようになって以降、リゾート開発が進む能登島だが、年に数回「上げ膳据え膳」で旅行を楽しむ人達は別として、そういう施設が目も口も肥えた車中泊の旅人の「お眼鏡」に適うとは思えない。
ただ、そんな能登島にも心惹かれる場所がある。
「そわじ海水浴場」の周辺に野生のミナミバンドウイルカの家族が棲みつき、一時期話題になった。
確かに2013年当時は、無料の展望所から肉眼でもはっきりその姿を確認することができた。ただし駐車スペースは路肩に3台ほどあるだけ。
それは現在でも変わらないのだが、肝心のイルカの姿がここで見られることは、もうほとんどないという。
2020年8月現在、ミナミバンドウイルカの家族は12頭まで増え、あいかわらず能登島近辺で暮らしているのだが、イルカウォッチングの主流は漁船によるツアーに替わっている。
悪く云えば、餌付けして抱き込んでいるようなものだが(笑)、一社独占というわけでもなく、地域ぐるみの観光事業として取り組んでいるようだ。
無料で見られた10年ほど前を思えば、いささか世知辛い話だとは思うが(笑)、逆に今は広範囲でその姿を見ることができる。
時には穴水でもイルカの姿が見られるようだ。その様子を筆者の友人が自身のウェブサイトに記しているので紹介しておこう。
穴水・七尾・能登島のベスト車中泊スポット
この3つのエリアには、それぞれに悪くない車中泊スポットが存在するが、珠洲と同じく1日で全て周れる距離にある。
であれば、もっとも寛げる環境を有した能登島の「ねやフィッシングパーク太公望」がベストということになるだろう。
なお能登島で車中泊をしたい人は、現地にスーパーマーケットがないので、七尾の町で食材とお酒を買い出しておくといい。
能登半島 車中泊旅行ガイド