この記事は、車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、現地取材を元に「車中泊旅行における宿泊場所としての好適性」という観点から作成しています。
※ただし取材から時間が経過し、当時と状況が異なる場合がありますことをご容赦ください。
残念ながら現在のビーナスラインの車中泊事情は、けして良好とは云えない状況にある。
ビーナスラインの車中泊事情&車中泊スポット【目次】
ビーナスラインとは…
蓼科から白樺湖、霧ヶ峰、さらに美ヶ原へと続く絶景の山岳回廊
ビーナスラインの車中泊事情
道中にリゾート施設やハイキングコースが点在しているビーナスラインを満喫するには、できれば途中に車中泊をはさむのが理想だと思う。
だが、残念ながらビーナスラインの車中泊事情は、あまり良好とは云えない。
その最大の理由は、車中泊クルマ旅における”ビジネスホテル”のような「旅の宿」に該当する施設から、車中泊旅行者を除外しようとしているからだ。
ビーナスラインの沿線では、美ヶ原高原に加えて、2020年に蓼科湖畔に道の駅が新設されたが、2軒とも特にキャンピングカーの車中泊に対しては神経を尖らせており、「禁止」と明記はされていないものの、ホームページには誤解を招くような注意書きが記されている。
また温泉が隣接する無料の南白樺湖駐車場は、2021年から事実上の「車中泊禁止」になってしまった。
確かに過去には、そういう「旅の宿」で、マナー違反となる「長期滞在」をした旅行者がいたことは事実だと思う。
しかし車中泊旅行者の大半は、日中にドライブと観光、あるいはハイキングなどを楽しみ、夕方到着して朝には立ち去る、まさに”ビジネスホテル”のような使い方をしている。
宿泊手段に関わらず、観光客がそこに泊まることによって滞在時間が増え、地元の温泉やレストラン、さらにガソリンスタンドまでが潤うことを考えれば、今の流れはけして良い方向に向いているとは思えない。
ただ、ビーナスラインで車中泊が「全面禁止」というわけではないので、ここからは可能なところを詳しく紹介していこう。
ビーナスラインの車中泊スポット
ビーナスラインの車中泊スポットには、道の駅、途中にあるドライブイン、トイレのある無料駐車場、そしてキャンプ場がある。
だが、涼しい高原でのんびり時を過ごしたいキャンピングカーの旅行者に、もっともフィットすると思われるRVパークが、2021年6月時点のビーナスラインにはない。
道の駅
なんだかんだ云ってはいるが、「旅の宿」として”ビジネスホテル”的に利用するなら、車中泊をしても咎められることはない。
なにか聞かれれば「仮眠です」と答えよう。
ドライブイン
無料駐車場
ビーナスラインには無料駐車場がいくつかあるが、トイレ付きとなると数箇所に限られる。ここでは、その中の代表的なところを紹介しよう。
写真は眺望の素晴らしい「霧ヶ峰富士見台」の無料駐車場だが、残念ながら24時間利用できるトイレはない。
北八ヶ岳ロープウェイ 駐車場
蓼科高原美術館と隣接しており、ロープウェイ駅の一階にご覧のきれいなウォシュレット付きのトイレがある。
南白樺湖駐車場(白樺湖 駐車場)
車山肩
車山に通じる登山口にある無料駐車場で、レストラン「チャップリン」が目印。リフトのある車山スキー場よりも「霧ヶ峰」寄りにあるので間違えないように。
バイオトイレは24時間利用が可能だが、ハイシーズンは早朝から車の出入りが多く、騒々しさは避けられない。
霧ヶ峰スキー場
「霧ヶ峰高原 ドライブイン霧の駅」から、県道40号を1キロほど諏訪方面に下ったところにあるファミリーゲレンデの無料駐車場。
当然ながら夏はがら空きで目立たないため、まさに長期滞在者のパラダイス(笑)。またオフ会にもよく使われているようだ。
トイレは様式だが、ウォシュレットはない。また駐車場の端に食堂があり、温泉にも近い。
ヒュッテ霧ヶ峰
☎0266-57-0333
おとな500円
14時~22時・不定休
コンビニ・スーパーマーケットともに、約15キロ離れた茅野市街まで出ないとない。
八島湿原
「霧ヶ峰高原 ドライブイン霧の駅」から、ビーナスラインを美ヶ原方面に4.5キロほど進んだところにある無料駐車場。
多種多様な植物が咲く、八島湿原を散策するハイカー向けに用意されたもので、敷地内にウォシュレット付きのきれいな水洗トイレがある。
ただし駐車場には傾斜があり、車中泊には難がありそうだ。
オートキャンプ場
ビーナスライン沿いのキャンプ場は、「霧ヶ峰キャンプ場」のようなオート不可のキャンプ場を合わせると、いったい幾つあるのか正確にはわからない(笑)。
ただ、車中泊クルマ旅での利用という観点に立つなら、オートキャンプ場でできれば電源サイトのある施設のニーズが高いと思う。
池の平ファミリーオートキャンプ場
白樺リゾート池ノ平ホテルの敷地の中にあるオートキャンプ場で、オートサイトはすべてAC電源付きだ。
残念ながら筆者は利用したことはないが、この立地でAC電源と炊事場付き6000円は良心価格だと思う。ただし、休日は簡単には予約が取れないだろう。
池の平ファミリーオートキャンプ場 オフィシャルサイト
蓼の花(たでのはな)オートキャンプ場
筆者がここでキャンプをしたのは2008年で、紹介するには随分昔の話になるのだが、ネットを見る限り、当時と施設はほとんど変わっていないので掲載することにした。
「蓼の花オートキャンプ場」は、蓼科湖がよく見える「湖畔サイト」と、炊事場に近い「ゆったりサイト」があり、筆者は「ゆったりサイト」を利用した。
いつの時代の「ゆったり?」と思う程度の広さだったが、サイドオーニングを出すだけなら支障はない(笑)。
こちらが「湖畔サイト」。2020年にできた「道の駅 ビーナスライン蓼科湖」の対岸にあるので、場所は分かりやすいと思う。
温泉施設を併設しているのは嬉しいのだが、ここには電源サイトがない。
2021年6月現在の料金は以下の通り。
オートキャンプ1泊 通常料金(大人2名迄、それ以上は追加料金が発生)
湖畔サイト4500円〜
ゆったりサイト(炊事場側)3500円〜
※料金は全て税込表示、繁忙期は特別料金
蓼の花オートキャンプ場 オフィシャルサイト
TINY GARDEN 蓼科
「蓼の花オートキャンプ場」のすぐ隣に2019年にオープンした、アパレルのセレクトショップで知られる「アーバンリサーチ」が運営する宿泊施設。
オシャレ感のあるコテージと小さいながらも電源サイトが用意されている。
TINY GARDEN 蓼科 オフィシャルサイト