この記事は、車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、現地取材を元に「車中泊ならではの旅」という観点から作成しています。
※ただし取材から時間が経過し、当時と状況が異なる場合がありますことをご容赦ください。
シルバーフェリー「八戸~苫小牧便」は、寝ている間に苫小牧に到着できる最終便がお勧め
「シルバーフェリー」は津軽海峡フェリーと同じ青森県発のフェリーだが、こちらは苫小牧に着岸するため、道東方面を目指す人に適している。
また荒れやすい津軽海峡を通らないため、船もあまり揺れないようだ。
「シルバーフェリー」は1日4便運行しているが、筆者が乗船したのは最終便のシルバーエイト (八戸発22時・苫小牧着翌朝6時)。
所要時間は8時間だが、深夜のうちに苫小牧まで運んでくれるので、観光を考えるともっとも効率がいい船になる。それもあってか、乗船待機所には思った以上に多い数のクルマが停まっていた。
シルバーエイトの車両収容台数は、トラック68台・乗用車30台。けして大きな船ではないが、個室客室と売店、オートレストラン、さらに浴室まで装備されており、使い勝手はすこぶる良かった。
利用したのは1等和室。
多少手狭ではあるが、一晩寝るだけなので支障はない。ただし床は敷物が和風なだけで、おそらくコンクリートであろう。膝をつくと痛くなるほどの硬さだった。
「シルバーフェリー」の船内で落ち着ける場所は、オートレストランに隣接するエントランスホール。日中の便なら、ここで粘るしかない(笑)。
フェリーで入浴できると1日分の風呂代が浮く。温泉やスーパー銭湯でも今は500円で収まるところが少ないだけに、ありがたい。
ところで。コスパはどうだろう。
今回筆者が支払った費用は夫婦でジャスト4万円だったが、夏休みのプレミア期間であれば、津軽海峡フェリーの青森便は26,850円になる。
ただしそれに函館~苫小牧間の高速料金とガソリン代を加算すれば、差額はおそらく数千円になるはずだ。さらに運転の疲労と布団で寝られる快眠&入浴代を加味すると、もしかしたらコスト・パフォーマンスは逆転するかもしれない。
なお、八戸には海産物の圧倒的な品揃えと安さで知られる「八食市場」がある。弁当だけでなく惣菜類も売っているので、乗船前に買っていくといい。