北海道に20回以上の車中泊旅行を重ねてきた、車中泊旅行歴25年のクルマ旅専門家が、2023年8月現在のトッカリショとイタンキ浜をご紹介。
この記事は、車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、現地取材を元に「車中泊旅行における宿泊場所としての好適性」という観点から作成しています。
※ただし取材から時間が経過し、当時と状況が異なる場合がありますことをご容赦ください。
「トッカリショ」は地球岬から0.7キロのところにある切り立った奇岩の絶壁で、「イタンキ浜」はその下に広がる鳴き砂のビーチ
トッカリショ&イタンキ浜 DATA
トッカリショ
〒051-0003
北海道室蘭市母恋南町3丁目
☎現地なし
展望台駐車場 約5台・無料
イタンキ浜
〒050-0083
北海道室蘭市東町3丁目
☎現地なし
駐車場 約50台・無料
「トッカリショ」の筆者の歴訪記録
※記録が残る2008年以降の取材日と訪問回数をご紹介。
2012.08.12
2021.04.22
※「トッカリショ」での現地調査は2021年4月が最終で、この記事は友人知人から得た情報及び、ネット上で確認できた情報を加筆し、2023年8月に更新しています。
トッカリショ&イタンキ浜
トッカリショのロケーション
室蘭八景の景勝地「トッカリショ」は、有名な「地球岬」と同じ、絵鞆(えとも)半島の外海に位置している。
両者の距離はわずか1.5キロほどだが、見える景色は大きく違う。
ゆえに「トッカリショ」は、「地球岬」と合わせて訪ねることに意味がある。
「トッカリショ」の概要と駐車場
「トッカリショ」とは、室蘭の最果てで、海の青と笹の緑が灰色の断崖絶壁を際立たせている絶景地のこと。
その語源は、アイヌ語の「トカル・イショ(アザラシの岩)」に由来しており、昔はここに多くのアザラシが集まっていたことが伺える。
現地に立てられた説明板の文章を、もう少し分かりやすく整理すると、
「トッカリショ」はアイヌ語で”美しい形”を意味し、アイヌの物語・伝承・祈りの場、そして言語に彩られた景勝地群の総称「ピリカノカ」の中の、「絵鞆半島外海岸ピリカノカ」に属する国指定の名勝だ。
「トッカリショ」を含めて4ヶ所ある「絵鞆半島外海岸ピリカノカ」には、地名に表された地形や自然環境が、そのまま保存されている。
ちなみに地球岬は、アイヌ語で「ポロチケウェ」、「断崖」の意味を持つという。
その「トッカリショ」には、2つのビュースポットがある。
写真は「トッカリショ」の断崖の上にある展望台で、ここからは「イタンキ浜」まで見渡せる。
それにしても…
「地球岬」の展望台に比べると、なんと質素なこと(笑)。
ただ中高年には、こういうほうが落ち着ける。世俗化していく地球岬の余波が、ここまで及ばないことを祈るばかりだ。
なおクルマは、展望台の手前の路肩に設けられた駐車スペースに停められるが、台数は5台程度でトイレはない。
「イタンキ浜」の概要と駐車場
「トッカリショ」のもうひとつのビュースポットが、この「イタンキ浜」だ。
「日本の渚百選」にも選ばれた美しい砂浜からは、切り立つ断崖がよく見える。
だが「イタンキ浜」が有名な理由は、その景観よりも「砂」にある。
「イタンキ」とはアイヌ語では「お椀」を意味する言葉だが、ここはアイヌから「ハワノタ(声のある砂浜)」と呼ばれていたことから、1986年(昭和61年)に調査が行われ、「イタンキ浜」一帯が北海道で初めて確認された「鳴砂」の海岸であることが判明した。
「鳴砂」には鉱物の石英が多く含まれており、それが砂同士の摩擦時にキュッキュッと音を出すことが分かっている。
全国では30ヶ所余りが確認されているが、ビーチが油やゴミなどで汚れると音がしなくなることから、鳴砂は「環境のバロメーター」といわれている。
「イタンキ浜」のビーチサイドには、未舗装だが広々とした無料駐車場がある。