北海道に20回以上の車中泊旅行を重ねてきた、車中泊旅行歴25年のクルマ旅専門家が、2023年8月現在の登別温泉の概要と駐車場・車中泊情報をご紹介。
「クルマ旅専門家」・稲垣朝則が、10年以上かけてめぐってきた全国の温泉地を、「車中泊旅行者の目線」から再評価。車中泊事情や温泉情緒、さらに観光・グルメにいたる「各温泉地の魅力」を、主観を交えてご紹介します。
ワイルド感満載!の「大湯沼川天然足湯」は、秘湯の名にふさわしい登別温泉の名所。
「登別温泉」の筆者の歴訪記録
※記録が残る2008年以降の取材日と訪問回数をご紹介。
2009.07.12
2012.08.02
2013.08.08
2018.07.28
※「登別温泉」での現地調査は2018年7月が最終で、この記事は友人知人から得た情報及び、ネット上で確認できた情報を加筆し、2023年8月に更新しています。
登別温泉 車中泊旅行ガイド
登別温泉のロケーションと概要
毎年300万人以上の観光客が道内外から訪れ、名・実ともに北海道ナンバーワンの温泉地とされる「登別温泉」は、室蘭の道の駅から約35キロ・クルマで30分ほど、
また白老の新名所となった「ウポポイ」からは、約28キロ・同じく30分ほどのところにある。
公共交通機関でやってくる人には、札幌駅や千歳空港からのアクセスが大事なのだろうが、車中泊の旅人が知りたいのは、こういう情報だと思う。
ところで…
面積からすれば、日本でもっとも温泉地が多いのが北海道であることに違和感はないのだが、確かに道内をクルマで旅すれば、あちこちに温泉は湧いている。
そのため日が経ってくると温泉に対する意識も薄れ、”単に汗を流すだけの浴場”になりがちなのだが、「登別温泉」は「別府温泉」と同じく、”多彩な泉種”が湧出する希少な温泉地で、「温泉のデパート」の異名を持つことを覚えておいて損はない。
ただ「湯めぐり手形」のようなサービスはなく、日帰り客はその”多彩な泉種”をリーズナブルに堪能することはできない。
そこで思いつくのが「足湯」だ。
「登別温泉」には「さぎり湯」という日帰りの共同温泉施設があるが、少しクルマで移動すれば、野趣に満ちた無料の「大湯沼川天然足湯」に出向くことができる。
あとは”リピート”するしかないわけだが、実は「登別温泉」には噴火湾沿いを走る国道36号以外に、道道2号というオロフロ峠越えの風光明媚なアクセスルートがある。
この室蘭をショートカットできる道を走れば、洞爺湖の南東部に位置する「道の駅 そうべつ情報館i」から「登別温泉」までは約37キロ・45分ほどで到着できるだけでなく、途中にある「カルルス温泉」にも立ち寄ることができる。
「カルルス温泉」は登別温泉から約8キロ離れたところにある小さな温泉郷で、昔から薬湯として知られ、国民保養温泉地にも指定されている。
筆者は、カルルス温泉の「山静館」にある、この源泉掛け流しの露天風呂で、洞爺湖からの運転疲れを癒やしてもらった。
さて。
1日400万リットル以上の湯量を誇る登別温泉の源泉の多くは、約1万年前に日和山(ひよりやま)が大噴火した際に誕生した、「地獄谷」と呼ばれる爆裂火口跡から湧出しており、温泉街のホテルや旅館へ配給されている。
同時に「北海道遺産」に認定された「地獄谷」は、温泉宿から徒歩で行ける観光スポットの役割も担っている。
「地獄谷」には入場料や入場時間はなく、24時間いつでも無料で観ることが可能。
筆者は未体験だが、夜間は「地獄谷」の一部がライトアップされ、幻想的な爆裂火口跡を観ることができるそうだ。
次は駐車場についてだが、登別温泉の見どころは「地獄谷」と、このあと説明する「大湯沼川天然足湯」に近い「大湯沼」になる。
両者は徒歩だと20分近く坂道を歩く必要があるので、ブルーのラインを引いた道をクルマで移動するほうがいい。
どちらも近くに有料駐車場があり、駐車券は共通になっている。
バイク:1回200円
普通車:1回500円
マイクロバス:1回1000円
大型バス:2000円
※ただし長さ5m以上の乗用車はマイクロバス扱いになる。
駐車料金が発生するのは、毎日8時から17時(夏は17時30分)頃までで、それ以外の時間帯(夜間や早朝)は駐車場を閉鎖することなく、無料で開放している。
また翌日の10時30分までに出庫すれば追加料金は発生せず、その時間を過ぎれば新たに1回分の追加料金(普通車の場合は500円)が必要となる。
登別地獄谷駐車場(写真の登別駐車場は現在の第一駐車場)
いずれも駐車場内にトイレはないが、少し離れた「登別パークサービスセンター」の隣にトイレがある。ただし24時間使えるかどうかまでは分からない。
なお、登別温泉でどうしても車中泊がしたい人には、温泉街から少し離れたところに、24時間使える公衆トイレ付きの無料の「桜ざか駐車公園」があるが、その件については、最後に詳しく説明しよう。
大湯沼駐車場
1回500円だが、登別地獄谷駐車場のチケットを見せれば、1回は無料で駐車できる。
ただし車幅制限2mにより、大型バスなどの車両は大湯沼駐車場に乗り入れできないため、地獄谷駐車場のみの利用となる。
また冬期(11月下旬~翌年4月下旬)は道路通行止めのため、大湯沼駐車場は閉鎖される。
なおトイレはあったが、筆者が訪ねた時は使用不可になっていた。
登別温泉の秘湯「大湯沼川天然足湯」
ということで、
マイカーなら「地獄谷」からさらに山道を登り、「大湯沼」に足を延ばそう。
大湯沼の駐車場にクルマを停めて、そこから今度は徒歩で車道を進み、大湯沼川探勝歩道入口から川沿いを5分ほど歩くと、ようやく目指す天然の足湯に到着する。
「大湯沼川天然足湯」は、大湯沼から流れ出る白濁した温泉の川をそのまま利用した、北海道らしい天然の足湯で、自然の中で森林浴をしながら散策の疲れを癒すことができる。
ちなみに「登別」の語源は、「白く濁った川・色の濃い川」の意味を持つといわれるアイヌ語の「ヌプルペッ」で、「霊力のある川」との説もある。
登別温泉の共同湯共同湯「夢元さぎり湯」
温泉地としての「登別」の歴史は、江戸末期に遡る。
「地獄谷」から硫黄の採掘を行っていた岡田半兵衛が、共同浴場を作ったことがそのルーツとされ、その後に大工職人だった滝本金蔵が温泉旅館業を始め、私費で道路工事を行い、湯治客が訪れるようになったという。
その当時の名残かどうかは分からなかったが(笑)、今も登別温泉街に唯一存在する共同温泉が、この「夢元 さぎり湯」だ。
加水・加温をすることなく、自然湧出した源泉を浴槽にかけ流している「夢元 さぎり湯」では、硫黄泉と明礬泉(みょうばんせん)の2種類のお湯が楽しめる。
夢元さぎり湯
☎0143-84-2050
おとな480円
7時~21時 (受付最終20時30分)
無休
無料駐車場あり(3ヶ所合計で約40台)
登別温泉の車中泊事情
前述したように「登別地獄谷駐車場」は夜間も開放されているため、翌日の10時30分まで、5メートル未満の普通車なら500円で利用できる。
ただ「登別パークサービスセンター」の隣にあるトイレが、夜間も使えるかどうかが分からないので、誰でもOKとまではいかないが、キャンピングカーのようにトイレが搭載されていれば、おそらく車中泊は可能だろう。
無料でトイレがあるのは、登別温泉から道道2号を5キロほど市街地に向かって下ったところにある「桜ざか駐車公園」だ。
24時間使える公衆トイレは、ペーパー付きの水洗だが、洋式は多目的トイレのみで、ウォシュレットはなし。
路面はフラットで車中泊に支障はないが、収容台数は10台ほどしかなく、運が悪ければ車中泊するクルマで満車になることもありそうだ。
どうしても登別で泊まりたい人は別として、紹介してきた「地獄谷」を見て、「大湯沼川天然足湯」までの散策を楽しみ、「夢元 さぎり湯」でサッパリすればいいという旅人は、あえてここに泊まる必要はないと思う。
ちなみに登別温泉に最寄りの道の駅は、約35キロ・クルマで30分ほど離れた「道の駅 カナスチールみたら室蘭」になるが、車中泊環境は断然いい(笑)。