「クルマ旅専門家」・稲垣朝則が、20年以上かけて味わってきた全国のソウルフード&ドリンクを、そのレシピと老舗・行列店を交えてご紹介します。
かきざき商店は、買ってよし・食べてよしの行列店
インターネットで余市の「おまとめ観光情報」を見れば、まずどのサイトにも紹介されている「かきざき商店海鮮工房」。
JR余市駅前の国道5号線沿いにあり、ご覧の通りオレンジの壁面が際立つ外観なので、スマホでナビするよりも、顔を上げて前を見ている方が見つけやすい(笑)。
かきざき商店 車中泊旅行者ならではの活用法【目次】
ランチタイムは平日でも行列必至。
かきざき商店は2階建てで、1階は鮮魚、海産物さらには地酒などを扱うスーパー、そして2階が大人気の食堂になっている。
筆者は2008年以降、ほぼ毎年欠かさずにこの店を訪ねているが、通い始めた当初はたしかに地元の人と日本人旅行者が多かった。しかし今は並んでいる人の半分以上が異国の言葉を喋っている(笑)。
食堂の営業は10時からだが、彼らには平日も休日も関係なく、また開店時間と同時にバスから続々と降りて並ぶ。
したがっていくら早い時間に訪ねても、まず待ち時間なしというのは期待できない。むしろ並ぶなら、ワンクール回転した11時過ぎのほうがいいだろう。
なお駐車場は隣にあるが、10台も停められないと思う。確実を期すなら、前述した「道の駅 スペースアップルよいち」から歩くことだ。
次はメニューについてだが、「おまとめ観光情報」では、写真写りの良い「海鮮丼」を掲載しているサイトが多い。
なるほど、団体でも個人でもツアーで来て、せいぜい3泊ほどしかしない旅行者には、それがウケるのだろう。
しかし車中泊の旅人には、「どこででも食べられるメニュー」は推奨しない。
かきざき商店で丼飯を食べるなら、ハーフ丼がお勧め!
これを一人で食べれば「2色丼」で、ちょうど一人前の食事になる。それで1,030円、しかも味噌汁は2杯飲める(笑)。
ちなみにこちらが「赤ウニ丼」。後志(しりべし)地方ではバフンウニのことを赤ウニ、ムラサキウニを白ウニと色で区別をするようだが、味が濃厚なのは赤ウニ。もちろんその分値段は高い。
ウニ丼はどこの店でも年によって値段は変動するが、積丹の相場は3500円前後だろう。それに比べると柿崎商店の赤ウニ丼は安いのだが、ウニの量が少ない分を差し引いて考える必要がある(笑)。
筆者がオーダーした理由は、値段よりも「酢飯」だから。白飯のウニ丼なら自前でも簡単に作れる。
こちらは、「ニッカウヰスキー余市蒸溜所」の誕生秘話を描いたNHK連続TV小説「マッサン」の放送以降にラインナップされた、1日10食限定メニューの「竹鶴政孝定食」。1,380円でヒラメとマグロの刺身、焼いた宗八かれい、イクラの小鉢、さらにカニ汁がセットになった豪華なランチだ。
先にカニ汁と宗八カレイをいただいて、最後は丼で〆る。本来ならビールも欲しいところだね(笑)。
車中泊なら一階の鮮魚店にも足を運ぶべし。
さて、今度は一階にある鮮魚店の話をしよう。実はここ2.3年の筆者は、食堂ではなく、こちらを目当てに足を運んでいる。
かきざき商店の鮮魚コーナーには、八角のような希少な魚も店頭に並んでおり、行くたびに愉快な気分になれるからだ。
クルマに調理器具はもとより、冷蔵庫まで積んでいるのだから、こういう店で「手に負えるレベル」のご馳走を見つけ、好きな場所で好きな時にいただく。それもクルマ旅の醍醐味だと筆者は思う。
たとえば牡蠣。北海道では夏でも場所によって生牡蠣が手に入るが、後志では寿都で養殖しており、それがかきざき商店では10個1000円ほどで手に入った。
調理したのは、積丹半島の海沿いにある無料のキャンプ場。牡蠣を食べるのに炭など使う必要はない。むしろこのほうが完璧にスープまで残すことができる。
そして最後はウニ。
かきざき商店で赤と白のウニを手に入れ、クルマの中でしっぽりといただいた。
期待した「塩水ウニ」ではなかったが、赤白あわせて3900円で食べ比べできるというのはなかなかいい。
恐るべしかきざき商店、まさに「車中泊で旅する北海道ならでは!」の贅沢だ。
かきざき商店
北海道余市郡余市町黒川町7丁目25番地
☎0135-22-3354
【営業時間】食堂は10時~19時、1階は8時30分から開店
【定休日】不定休
【駐車場】無料駐車場あり