この記事は車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、現地取材を元に「車中泊ならではの旅」という観点から作成しています。
※ただし取材から時間が経過し、当時と状況が異なる場合がありますことをご容赦ください。

「枝幸かにまつり」は、車中泊旅行者の”同窓会会場”
「枝幸かにまつり」【目次】
「枝幸かにまつり」の歴史と概要
例年7月初旬に開催される「枝幸かにまつり」は、「毛ガニのかご漁・水揚げ日本一」を誇る、オホーツク沿いの小さな漁師町・枝幸町のオリジナルイベントで、毎年全国各地から約2万人が訪れるという。
その始まりは、ウスタイベ千畳岩が「北オホーツク道立公園」のひとつに指定されたことに由来するとされ、2019年に通算52回目を迎えたが、以降2年はコロナ禍でやむなく中止となっている。
枝幸の毛ガニ
北海道の毛ガニは、オホーツク海から太平洋側の広域に分布し、水深150mより浅い砂地の海底に生息している。
水温や気候の違いによって脱皮や産卵の時期が異なるため、各地で漁期を変えて漁獲されるが、枝幸町のかご漁は3月中旬から5月中頃までが漁期になる。
その理由は流氷にある。
流氷には植物プランクトンが多量に含まれ、それが動物プランクトンを養っている。枝幸の港に揚がるのは、水温が低く運動量が少ない時期に、それをふんだんに食べた毛ガニであるがゆえに、ズッシリしていて味が濃いのが特徴だ。
「枝幸かにまつり」では、その毛ガニを早食い競争や抽選会で、参加者に惜しげもなくプレゼントする「太っ腹ぶり」が話題を呼び、人気を博している。
もちろんイベント会場では、毛ガニを浜値で買えるほか、屋台ではカニ汁やカニ飯、さらにはウニなども安く売り出される。
だが、それだけで2万人は集まらない。
もうひとつの枝幸の名物は、よさこいソーラン
今や枝幸の名を全国に知らしめているのは、毛ガニよりも彼らかも知れない…
枝幸のよさこいソーランチーム「夢想漣(ゆめそうらん)えさし」は、全国から約2万8千人・221チームが参加し、延べ5日間でおよそ200万人の観客を動員する一大イベント、「YOSAKOIソーラン祭り」の頂点を連覇で極めたスター軍団だ。
「枝幸かにまつり」は、そんな彼らの凱旋を祝う舞台でもあり、この祭り用に作った曲を、地元の子供たちと一緒に踊る粋な計らいも用意されている。
興味があれば、そのパフォーマンスをぜひ動画で。ネットはこれができるからいい。見終わったら思わず「ブラボー」って叫んじゃうかも(笑)。
筆者はこれをLIVEで見たくて、2011.2013.2014年の3度「枝幸かにまつり」の会場に足を運んでいる。
失敗しない「枝幸かにまつり」の楽しみ方
さて。この記事の「キモ」はここからだ。
「枝幸かにまつり」は、SNSのクラブ会員同士や北海道で知り合ったクルマ旅の仲間が、年に一度再会を期して集まる、いわば同窓会的な役割を果たしている。
そのせいもあり、初対面であっても誰もが気さくに応対してくれる雰囲気なので、賑やかな場所が苦手でなければ、旅人にとってこのイベントは、多くの人々と情報交換できる大きなチャンスになる。
ただし会場は土曜日の午前中には写真の通りになるので、少なくとも金曜日の昼間でには会場入りをしておくほうがいい。年によっては、それでも場所がないこともあるくらいだ。
楽しいのは「前夜祭」
かにまつり名物のひとつは前夜祭だ。
まずは1300円で生ビール3杯と味付ジンギスカンに、毛ガニの当たる抽選券がついた前売りチケット(当日1500円)を手に入れよう。
屋台に行けば、それを食材に交換してくれる。もちろんBBQコーナーは無料。周囲には自慢の海鮮を安くたらふく食べさせてくれる屋台も並ぶ。
枝幸かにまつりの車中泊場所
イベント事務局では当日の混乱を避けるために、かにまつりの会場に隣接する「ウスタイベ千畳岩キャンプ場」を、参加者の車中泊場所に指定しているが、当日はかなり混み合う覚悟で出かけよう。

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