北海道に20回以上の車中泊旅行を重ねてきた、車中泊旅行歴25年のクルマ旅専門家が、2023年7月現在の「道の駅 夕張メロード」の車中泊情報をご紹介。
この記事は車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、現地取材を元に「車中泊旅行における宿泊場所としての好適性」という観点から作成しています。
※ただし取材から時間が経過し、当時と状況が異なる場合がありますことをご容赦ください。
現在の「道の駅 夕張メロード」は24時間トイレが利用できないため、車中泊にはかなり不便
「道の駅 夕張メロード」 DATA
道の駅 夕張メロード
〒068-0755
北海道夕張市紅葉山529
☎0123-53-8111
営業時間
4月26日~8月:9時~18時30分
9月~10月:10時~18時30分
11月~4月24日:10時~18時
月曜定休
「道の駅 夕張メロード」の登録日
※これを知ることで、施設の古さやリニューアルの有無などがわかります。
登録回/第35回
登録日/2011年3月3日
「道の駅 夕張メロード」の筆者の歴訪記録
※記録が残る2008年以降の取材日と訪問回数をご紹介。
2011.09.15
2015.07.30
2020.07.24
2022.08.07
※「道の駅 夕張メロード」での現地調査は2022年8月が最終で、この記事は友人知人から得た情報及び、ネット上で確認できた情報を加筆し、2023年6月に更新しています。
道の駅 夕張メロード【目次】
「道の駅 夕張メロード」のロケーション
中高年にとって「夕張」と云えば、やっぱりコレだよね(笑)。
何も見ずに北海道の町の名前を10件以上挙げられる人は、もうそこそこ北の大地を走っていると思うのだが、一度は健さんの「幸せの黄色いハンカチ」を見ているに違いない中高年なら、その中にはたぶん「夕張」が含まれる。
だが、「夕張がどのあたりにあるか分かる?」と聞かれたらどうだろう。
夕張の町は、千歳と雲海テラスで有名な「星野リゾート トマム」のある占冠(しむかっぷ)の、ちょうど中間あたりに位置している。
道東自動車道を走るとインターがあるので気がつくが、北海道のクルマ旅ルートからは外れているため、普段はなかなか通ることがない。
筆者の歴訪記録を見て、「あれっ、他に比べて少ないな」と感じた人があるかもしれないが、理由は「新しいから」あるいは「つまらないから」というより、そのロケーションに起因している。
すなわち…
夕張は「わざわざ行くところ」であって、ついでに行くのは難しい。
社会に関心の薄い若者は別として、
中高年はかつて炭鉱で栄えた夕張が、経済の再生に失敗した結果、日本国史上初めての「財政破綻を招いた町」に陥ったことくらいは知っている。
話には聞いているが…という人は、以下の動画をお勧めする。
ただこの動画の作者は「今どき言葉」がお好きなようで、頻繁に「オアコン」という単語が登場する(笑)。
「オアコン」とは「終わったコンテンツ」の略語。それさえ知っておけば、この動画は勉強になる。
ちなみに夕張市が財政破綻したのは2006年で、「道の駅 夕張メロード」がオープンしたのは2011年だ。
つまりこの道の駅は、泥沼に沈んだ夕張再生の期待とともに誕生している。
その視点から眺めてみると、「道の駅 夕張メロード」はなかなかユニークで、若者とはまったく違う評価にもなる。
「道の駅 夕張メロード」の施設
最初に24時間トイレの話から始めよう。
ご承知の通り、24時間トイレの設置は道の駅登録の必須条件なので、「道の駅 夕張メロード」が登録された、2011年3月当時にはこの建物が存在していた。
ただ、本来は敷地内でないと駄目なのだが、そこは夕張市の財政破綻に考慮し、JR新夕張駅入口階段の左にあった「紅葉山公衆便所」を、道の駅の24時間トイレとして転用することを、国交省が「お目こぼし」してくれた経緯がある。
しかし2018年(平成30年)9月に発生した北海道胆振東部地震により、地下の浄化槽が破損したことで利用できなくなり、2019年(平成31年)3月に撤去された。
本来ならここできちんと敷地内に作るべきだと思うのだが、「道の駅 夕張メロード」では、なんとさらに遠い階段上のJR新夕張駅構内のトイレをその代用にしたまま、地震から4年を経た今でも放置している。
そのうえ個室にはウォシュレットがない。
2022年に筆者は60軒近い道の駅をまわったが、ウォシュレットが設置されていなかったのはわずかに2件のみ。
驚くほど冷え込む北海道では、便座に暖房が効くウォシュレットは「あって当たり前」になっている。
もちろん道の駅の館内には、こことは別にトイレがあるが、そちらは営業時間中にしか使えない。
まあこの段階で、中高年の多くは「道の駅 夕張メロード」での車中泊を諦めるというか、呆れて見捨てることだろう(笑)。
ただそれはあくまでも車中泊の話で、「道の駅 夕張メロード」にこれほど多くのお客が集まる理由は2つある。
ひとつはいうまでもなく、北海道の特産品の筆頭とも呼べる「夕張メロン」だ。
「夕張メロン」は札幌や函館の土産屋や産直市場に行けば並んでいるが、「道の駅 夕張メロード」の夕張市特産品直売所は、さすがに品数が違う。
こういうセール品が買えるのも、地元ならではの特権だろう。
道外の我々は、夕張も富良野もニセコも同じメロンだと思いがちだが、「夕張メロン」は正真正銘のブランド品だ。
登録商標「夕張メロン」
赤肉のネットメロン(マスクメロン)で、正式な品種名は「夕張キングメロン」。リキュールのような芳醇な香りとコクのある甘み、そしてとろけるような食感を持つ。
「夕張メロン」はJA夕張市(夕張市農業協同組合)の登録商標で、隣接する市町村産では夕張の名を冠することはできない。
また「夕張メロン」の種は、農協の金庫で厳重に保管されている。
その種から育ったメロンはJA夕張市に集荷され、厳格な検査に合格したものだけが「夕張メロン」のブランドで、5月中旬から8月までの約3カ月間限定で出荷される。
札幌市民はこのことをよく知っているから、シーズン後半になると「おいしいメロン」をこぞって買いにくるわけだ。
ちなみに筆者は頂いて食べたことはあるが、買ったことは一度もない(笑)。
そしてもうひとつは、売店の品揃え。
実は「道の駅 夕張メロード」は、JA夕張市直営のスーパーマーケットだった「メロード」を道の駅に改修した施設で、売店は事実上の「エーコープ」だ。
財政再生の一環として、夕張市紅葉山地区の商店街振興と観光拠点の設置を目標に、2009年(平成21年)10月頃から整備が検討されてきた。
本州でも過疎地に行けば、道の駅の売店が地域住民に生活必需品を提供する店舗を兼ねているのは珍しくないが、ここまで生鮮食品が揃っているところは少ない。
こちらは主に地元の人が利用している駐車場だが、稼働率から見てもスーパー業態はうまくいっているのだろう。
夕張メロンの直売所が、札幌や帯広から日帰りでやってくる道民に支持され、スーパーは地元の人々から愛されているのだから、残るは我々のような道外から来る観光客への取り組みだ。
オープン当初はこういう手書きのマップもあって、それなりに頑張っていた。
しかし現在は24時間トイレを筆頭に、今はそこに気持ちが向いていない。
平坦な駐車場と充実したスーパーに、コンビニ・リーズナブルな入浴施設・そして有名なロケ地、パークゴルフ場などをネットワークして、車中泊で来てくれる観光客の居心地を良くすれば、夕張が紋別のようになれる余地は十分にある。
そろそろ目覚めてくんないかな~(笑)。
シニア世代は、今新たなる憩いの地を北海道に求めている。
「道の駅 夕張メロード」の車中泊好適度
「道の駅 夕張メロード」のゴミに対する対応
可燃ゴミ:なし
缶・ビン・ペットボトル:なし
「道の駅 夕張メロード」の最寄りの温泉&周辺買い物施設
夕張市リフレッシュセンター清陵
※道の駅から約7キロ
☎0123-59-4274
おとな480円
16:00〜20:30・木・日曜定休
コンビニ
セブンイレブンが約350メートルのところにある。
スーパーマーケット
道の駅の中にAコープがある。
「道の駅 夕張メロード」のアクセスマップ