この記事は車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、現地取材を元に「車中泊ならではの旅」という観点から作成しています。
※ただし取材から時間が経過し、当時と状況が異なる場合がありますことをご容赦ください。
在りし日の健さんに会える、希少なロケ地
「鉄道員(ぽっぽや)」は、原作・浅田次郎、監督・降旗康男、主演・高倉健で、1999年に東映系にて公開された。
興行収入は20.5億円、第23回日本アカデミー賞(2000年3月)の最優秀作品賞、最優秀主演男優賞など主要部門をほぼ独占した名画だ。
ストーリー (goo映画より転記)
北海道の幌舞線の終着駅幌舞の駅長・佐藤乙松は、鉄道員(ぽっぽや)一筋に人生を送ってきた男だ。
幼い一人娘を亡くした日も、愛する妻を亡くした日も、彼はずっと駅に立ち続けてきた。だが、その幌舞線も今度の春で廃線になることが決まっていた。
さてその最後の正月、かつて乙松と共に機関車を走らせていた同僚で、今は美寄駅の駅長の杉浦が乙松を訪ねて幌舞駅へやってきた。
彼は、今年で定年になる乙松に一緒にリゾートホテルへの再就職を勧めにやってきたのだ。しかし、鉄道員一筋の乙松はその申し出を受け入れようとしない。
やがて、終電が終わるとふたりは酒を酌み交わし、懐かしい想い出話に花を咲かせた。数々の出来事が、乙松の脳裡に蘇っていく—-。
一人娘の雪子の誕生と死、炭坑の町として幌舞が賑わっていた頃のこと、機関士時代の苦労、愛妻・静枝の死_。
そんな乙松の前に、ひとりの少女が現れる。どうやら、正月の帰省で都会からやってきた子供らしい。
乙松は、あどけない少女に優しく話しかけながら、その少女に雪子の面影を重ねていた。その夜、昼間の少女が忘れていった人形を取りに来たと言って中学生の姉が駅舎を訪れた。
乙松は、彼女を歓待してやるが、彼女もまた人形を忘れて帰ってしまう。
さてその翌日、杉浦が美寄に帰った後に、またしてもふたりの少女の姉と名乗る高校生がやってきた。
17歳の彼女は鉄道が好きらしく、乙松の話を聞いたりして楽しい時間を過ごした。だが、実は彼女は17年前に死んだ乙松の子供・雪子だったのである。
彼女は、自分が成長する姿を乙松に見せに現れてくれたのだ。そのことを知った乙松は、死に目にもあってやれなかった娘への後悔の気持ちが雪のように溶けていくのを心の中に感じる。しかし翌朝、すっかり冷たくなった乙松の亡骸が、幌舞駅のホームで発見された…。
ロケ地 幾寅駅
物語の舞台となった「幌舞駅」は、「JR幾寅駅」として現在も利用されている。
公開から約20年が経ち、ずいぶん老朽化がめだってきたが、隣接する「だるま食堂」などのロケで使用された建物も、映画の町並みのまま保存されている。
駅舎に設けられた「鉄道員(ぽっぽや)展示コーナー」。
写真や主演者が着用した衣装と、撮影の様子を盛り込んだ映画のダイジェスト版ビデオが常時放映されている。いずれも見学は無料だ。
なお、映画の展示コーナーは、当初は隣接する情報プラザ内にあったが、現在は駅舎に移管されている。