この記事は、車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、現地取材を元に「車中泊旅行における宿泊場所としての好適性」という観点から作成しています。
※ただし取材から時間が経過し、当時と状況が異なる場合がありますことをご容赦ください。

「屈斜路湖畔」に欠けているのは、安心してゆっくり腰を落ち着けられる車中泊地
本論に入る前に、筆者は「屈斜路湖周辺」と「屈斜路湖湖畔」の2つの言葉を使い分けている。
「周辺」とは「屈斜路湖が遠く望めるまで範囲」をイメージし、「湖畔」は原則的に水辺を指しているが、ここでは後者の「湖畔」の車中泊事情を説明しよう。
屈斜路湖湖畔の車中泊事情と車中泊スポット【目次】
川湯温泉の車中泊事情
”巨人・大鵬・卵焼き”が当たり前の我々「アラ還世代」にとって、馴染みの深い昭和中期の大横綱”大鵬”の相撲記念館が建つ川湯温泉は、厳密に云えば屈斜路湖の湖畔からは少し離れているが、この記事のくくりではあえて「湖畔」の範疇に含めたい。

だが、かつては違った…

さて。この表示を見ると、敷地内に洗濯物を干したり、トイレで食器を洗う非常識な旅人がいたことが推測される。
その点からすると、トイレの夜間閉鎖はやむなしと思う旅人もいるだろうが、今やそういう輩はどこにでもいるわけで、問われているのはその対策だ。
本州にある人気の温泉地や観光地の駐車場では、具体的な禁止事項を記した看板を目立つ場所に立て、利用規則に違反する人間を、警備員に注意させたり通報してもらうことで抑制し、利用を禁止することなく現在に至っているところが多い。
だが川湯温泉では、そういう努力をしているフシを感じない。
そもそも、こういう問題児が旅人のいったい何パーセントいるというのだ?
明らかに90%を越える「真面目な旅人」は、もはや現在の川湯温泉のような対応方法には辟易し、我慢の限度がピークになりつつある。
こういった乱暴で短絡的なやり方は、温泉街にも旅人にも、けして良い結果をもたらしているようには思えない。
人が来なくなれば町は廃れる。
本当に困っているのは、他にいくらでも選択肢がある旅人ではなく、日銭を得る方法を奪われた地元の店のほうじゃないのか?
和琴半島の車中泊事情と車中泊スポット
さて。いうまでもなく、屈斜路湖周辺にもキャンプ場は存在する。
だが、いずれも車中泊の旅人の「お眼鏡」に適うところはではない。
ロケーションの良い和琴半島には2つのキャンプサイトがあるが、写真の「和琴半島湖畔キャンプ場」は、オートキャンプができないうえに駐車場もない。
そのため、クルマは少し離れたこのトイレがある無料の公共駐車場に停めることになるのだが、車中泊の旅人は「お金を払っても払わなくても同じ」場所で寝ることになるのだから馬鹿げている。
幸いにも今のところ車中泊はできるが、この駐車場は将来の有力な「車中泊禁止スポット候補」だと思うし、ここがあるからと喜んでいる旅行客も大人げない。

もうひとつのキャンプ場は、2014年にリニューアルオープンした和琴野営場だ。
以前は「和琴半島湖畔キャンプ場」と同じく駐車場はなかったが、現在は敷地内に設けられている。ただしオートキャンプサイトはない。
こちらが場内の駐車場。
「固定テントサイト」のK-1、あるいはK-20に入り、そこにシェルターを張って上の駐車場で車中泊をできなくはないと思うが、夫婦なら1泊4000円になる。
電源無しでこの価格は、北海道では”異常”といえる(笑)。
しかもすぐ向かいは、さきほど紹介した無料駐車場だ。
加えて、ここには呼称が幾つもある。現地の表示にさえ「和琴野営場」と「和琴キャンプ場」の2つがあるうえ、ガイドブックには「和琴半島公共キャンプ場」と紹介されている。
ネット検索が当たり前の時代には、ちょっと理解できない失態。まさに「お話にならない」とはこのことだろう。
砂湯の車中泊事情と車中泊スポット
最後は砂湯キャンプ場。
ここもオートキャンプができない夏の時期は、和琴半島と同じように、目の前にある無料の公共駐車場にクルマを停める。
キャンプ料金はおとな1泊500円と北海道水準なのだが、ペットの同伴は禁止だ。
また、営業期間の6月中旬~9月中旬のうち、いつがオートキャンプ禁止なのかをネットで調べることはできなかった。
写真はトイレ付きで、道の向こうが砂湯のビーチという、好ロケーションの公共無料駐車場。

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