この記事は、車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、現地取材を元に「車中泊旅行における宿泊場所としての好適性」という観点から作成しています。
※ただし取材から時間が経過し、当時と状況が異なる場合がありますことをご容赦ください。

「ナウマン公園キャンプ場」は、パークゴルフを楽しむ車中泊旅行者の”かつてのパラダイス”
筆者の歴訪記録
※記録が残る2008年以降の取材日と訪問回数をご紹介。
2009.07.10
2011.07.05
2013.07.02
2014.07.25
2015.08.03
2017.08.19
2021.07.05
2022.07.31
ナウマン公園キャンプ場【目次】
「ナウマン公園キャンプ場」のロケーション
十勝エリアの幕別町にある「ナウマン公園キャンプ場」は、温泉施設を併設する「道の駅 忠類」と隣接している。
名前は近くからナウマン象の化石が発掘されたことに由来しており、敷地にはナウマン象の大きなモニュメントとともに、「ナウマン象記念館」がある。
公園の高台には無料のキャンプサイトがあり、昔からライダーや車中泊の旅人にはよく知られた場所だった。
そりゃこれだけ整備されているうえに、歩いて温泉まで行けるのだから当然と云えば当然だろう。
だが団塊の世代が定年退職のピークを迎えた2007年頃から、キャンピングカーで長期滞在するシニアが増え、「ナウマン公園キャンプ場」は転換期を迎えた。
その背景にあったのがパークゴルフだ。
パークゴルフは地元の幕別町を発祥地とする日本生まれのスポーツで、そのチャンピオンコースが「ナウマン公園キャンプ場」の隣にある。
年齢・性別を問わず気軽に楽しめるパークゴルフは、たちまちシニアの間で評判になり、瞬くうちにこのチャンピオンコースは彼らの「聖地」となった。
「ナウマン公園キャンプ場」の施設

隣接するチャンピオンコースが「聖地」になったおかげで、もともとあったキャンプサイトは、パークゴルフ目当てに集まる車中泊旅行者のクルマで満車になることが多くなった。
長期滞在するには、道の駅よりもキャンプ場がいいのはもっともな話で、しかもここは無料だ。
そこで7月1日~8月31日の間は、キャンプサイトへのキャンピングカーの入場が禁止された。
ただしその間は芝生広場を第2キャンプ場とし、そこから階段を登ったところにあるパークゴルフ場専用駐車場の、西側一列での車中泊も許可された。
また同時に、パークゴルフ場のトイレと炊事場の利用も認められていた。
しかしそれから約10年が過ぎた2017年頃から、再び情勢が変わる。
東京で火がついたソロキャンプの煽りを受け、かつては車中泊をするキャンパーしか来なかった第2キャンプ場に、テントキャンパーが怒涛のように集まり始めた。
これを見た施設側は、次なる方策を打ち出したのだが、これが筆者を含む車中泊旅行者の気分を大いに害するものだった。
天国から地獄へ堕ちた車中泊旅行者
2021年に来てみると、以前は自由にオートキャンプができた第2キャンプ場はテント泊専用サイトとなり、事実上キャンピングカーと車中泊旅行者は出入り禁止になっていた。
同時にパークゴルフ場専用駐車場も車中泊は全面禁止。
停まっているキャンピングカーは、パークゴルフをしに来ているという暗黙の了解を得ているのだろうが、夜は移動を余儀なくされているはずだ。
そして代替え地に用意されたのがココ。
天国から地獄とはまさにこのことだ(笑)。
筆者が気になったのは、期間が明示されていないこと。
ということは7月8月以外も、この措置がずっと続くということなのだろう。
しかもこの状況は、2022年もまったく変わっていなかった。
これでは「もう車中泊客には来て欲しくない」というメッセージ以外に、解釈のしようが見つからない…
団塊の世代が次々と北海道でのクルマ旅を卒業していけば、多少は車中泊のマナーも浄化されると思うが、逆に環境面では悪くなるところも出てくるだろう。
というのは、団塊の世代の中には地元の人たちとうまく交流を図り、長期滞在する旅人との軋轢を抑える「潤滑油」的な役割を果たしてくれていた人も多い。
わかりやすく云えば「ここはひとつ、あの人の顔を立てて…」のノリだ(笑)。
しかし筆者もそうだが、現在の60代はあまり人との交流に積極的ではなく、それがゆえに「互いに話せば分かる」前にブチギレして、ドカーンとミサイルを放たれてしまうことは十二分に有り得る。
ナウマン公園でもそういう出来事があったかどうかまでは知らないが、まんざら否定はできない。
確かに「目に余る醜態」の車中泊旅行者を毎回見かけたし、ここが第2の「道の駅しほろ温泉」化していたのも事実だ。
しかしキャンピングカーを筆頭にした車中泊旅行者を締め出し、近年のブームに乗っかってキャンプを始めた人たちを受け入れても、現場のモラルは向上するよりむしろ、悪い方向に向く可能性が高いような気もする。
この情報が拡散されるまでは、そうとは知らずにやってきた車中泊旅行者は道の駅で泊まるだろうが、この状況が続けばナウマン公園キャンプ場の評判は、「道の駅 忠類」ごと地に堕ちてしまうに違いない。
これだけは間違いなく云えると思うが、北海道でしか知られていなかったパークゴルフを、日本中に知らしめた功労者は車中泊の旅人たちだ。
それを「聖地」で、ないがしろにしたのだから、反動はけして軽くはない。
紋別に「聖地」が取って代わられる日は近いかもしれない。
「ナウマン公園キャンプ場」の温泉&周辺買い物施設
十勝ナウマン温泉ホテルアルコ
徒歩圏内
☎01558-8-3111
おとな600円
11時~21時30分(受付最終21時)
※朝風呂:5時~8時(受付最終7時30分)・サウナと水風呂は利用不可
無休
コンビニ
セイコーマートが約600メートルのところにある。
スーパーマーケット
約8キロのところに「フクハラ大樹店」がある。
「ナウマン公園キャンプ場」のアクセスマップ
十勝 車中泊旅行ガイド
道東セカンドルート 車中泊旅行ガイド
道東 車中泊旅行ガイド


日本全国 車中泊旅行ガイド
クルマ旅のための車中泊入門サイト
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