この記事は、車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、全国各地からセレクトした「クルマ旅にお勧めしたい100の旅先」の紹介です。

駐車場から少し離れるだけで、人工物が一切映らない神秘な景色に出会える
「オタトマリ沼」の見どころと車中泊事情【目次】
「オタトマリ沼」の見どころ
利尻島の観光地では、ここが「一番有名」といっても過言ではない。
島に関連するパンフレットや広告物には、必ずといっていいほど登場しているので、この景観に見覚えのある人は多いと思う。
その理由のひとつは下の写真にある。
ご承知の方も多いと思うが、このオタトマリ沼付近から撮影した利尻山の冬の景観が、1976年以来、石屋製菓の「白い恋人」のパッケージに使われている。
オタトマリ沼付近と記載したのは、正確な撮影場所はクルマで2.3分ほど離れた高台にあるこの「沼浦展望台」だからだが、ここまできたらミーもハーも気にせず、一緒に訪ねておいても損はない(笑)。
少し余談になるが、筆者はここから見る利尻山の景観を興味深く見ている。
日本百名山にその名を記す利尻山は、別名「利尻富士」と呼ばれている。
だが、オタトマリ沼のある利尻島南部からの景観は、なだらかな稜線を持つ富士山ではなく、むしろ難所の多い山として知られる立山連峰の劔岳を連想させる。
利尻山が富士山のように感じられるのは、島の北部から見た時の話。
どの山でもそうだが、高い山は場所によって見え方が変わる。
さて本論に戻ろう。
オタトマリ沼の周囲には、約1.5キロの遊歩道が整備されており、赤エゾマツの原生林の中を散策する人も多く見かける。
礼文島と同じく利尻島にもヒグマはいないので、誰もが安心して森林浴を楽しめるのも、そのひとつの理由だろう。
沼を一周までしなくても、駐車場から少し離れるだけで、人工物が一切映らない神秘的なる景色に出会える。
これが本来のオタトマリ沼の姿だ。
また6月中旬にもかかわらず山桜が咲く。この環境が隣に浮かぶ礼文島を「花の浮島」と呼ばせる所以なのだろう。
花という面では礼文島の影に隠れているが、この島でもリシリソウと名付けられた固有の品種が見つかっている。
「オタトマリ沼」の車中泊事情
オタトマリ沼の駐車場は無料で、一画にはきれいなトイレとゴミ箱が置かれている。そのうえベンチまで用意されているので、一見すると車中泊の好適地に思えるかもしれない。

世間一般の常識からすれば、この環境を持つオタトマリ沼の無料駐車場で車中泊をするのは、まず理解されない。
たとえ「禁止」と書かれていなくても、そういう場所を避けて旅をするのが大人の振る舞いだ。「できる」と「やってもいい」は、必ずしもイコールではない。
なお、ここで食べられるものと土産品の情報は、ネットで検索すれば星の数ほど見つかると思うので、当サイトでは割愛させていただいた。
「食べログ」によると、「ウニの握り」と「万年雪のソフトクリーム」がおいしいらしい。
そもそも観光バスが続々と到着し、売店が開く時間に来ているようでは、こんな人っ子一人いないカットは撮影できない(笑)。
オタトマリ沼
〒097-0211 北海道利尻郡利尻富士町鬼脇沼浦
カーナビ用☎0163-83-1361(利尻亀一 オタトマリ沼店)
※☎0163-82-1111は利尻富士町役場の番号なので違う場所に案内される。
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