【2023年3月更新】
車中泊旅行歴25年のクルマ旅専門家がまとめた、「吉野山の桜」の概要と駐車場及び車中泊に関する記述です。
この記事は、車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、全国各地からセレクトした「クルマ旅にお勧めしたい100の旅先」の紹介です。

単刀直入に、「吉野山の桜の見学(撮影)時」に知りたい要点だけを簡潔にご紹介。
「桜の吉野山」の筆者の歴訪記録
※記録が残る2008年以降の取材日と訪問回数をご紹介。
2009.04.05
2011.04.12
2023.03.29
「桜の吉野山」での現地調査は、2023年3月が最新になります。
桜の吉野山 マイカーアクセス&車中泊ガイド
なお長くなりすぎないよう、吉野山の桜に関するウンチクについては以下の記事にまとめている。
まかりなりにも吉野山は世界遺産。うわべだけで理解できるはずがない(笑)。
吉野山の桜の見頃は?
「千本桜」あるいは「一目千本」と称されてきた吉野山には、日本一とも呼ばれる約3万本の桜の木が植えられている。
その大半はヤマザクラで、開花は例年ソメイヨシノより1週間ほど遅め。
関西在住者には、大阪市内にある「造幣局の桜の通り抜け」とともに、遅咲きのお花見スポットとして知られている。
吉野山は南から北に向かって約6キロ続く山岳地帯で、そこに「馬の背」のような道が走っている。
桜の見どころは、標高順に「下千本」「中千本」「上千本」「奥千本」と呼ばれ、下千本エリアから少し日を空けながら、桜前線が山を北上していく。
もちろん開花の時期は年によって変わるが、ザクッと云うと、見頃は以下のような感じになるだろう。
下千本エリア/4月6日~10日頃
中千本エリア/4月8日~12日頃
上千本エリア/4月10日~15日頃
奥千本エリア/4月15日~20日頃
筆者がお勧めするタイミングは、下千本エリアが満開を少し過ぎた頃。それは次で紹介する「見どころ」と大いに関係がある。
行かれる際は、こちらの開花情報サイトで確認を。
吉野山の桜の見どころは?
当サイトよりもっと細かくリストアップしているガイドもあるが、どのみち一度の訪問で全部が見られるわけではない。
吉野山で高い満足を得る秘訣は、ピンポイントで見どころを絞ることだと思う。
下千本エリア
「御野立ち」から観る七曲り坂の桜
イチオシは下千本駐車場の近くにある、通称「御野立ち」と呼ばれる展望台から見られる、この「七曲り坂」の景観。
「下千本でこれなら、もっと上から見たらどーなんだろう!」っと大きな期待を抱かせてくれる(笑)。
「多少は空いている時期」に吉野山に行きたいのなら、この景色が見られる頃がいい。中千本が見頃を迎える頃、吉野山の人出はピークを迎える。
中千本エリア
吉水神社から観る「一目千本」の桜
その境内から見える景色を「一目千本」と呼ぶ、世界遺産に登録された吉水神社は、吉野山屈指の桜見物スポットだ。
確かにここからは、中千本と上千本の桜を同時に見渡すことができる。
そして天下人となった豊臣秀吉も、ここに家康ほかの諸将を集め、盛大な花見を催している。
ただし、なかなか「全山満開」というタイミングに逢うのは難しい。
上千本の満開を狙うと、中千本の桜が散って葉桜になってくるため、どうしても早めに行きたくなる。
中千本エリアには、吉野山のランドマークとも云える世界遺産の「金峯山寺」もあり、桜のシーズンに一度だけしか吉野山に行けない人には、この中千本が満開を迎える頃に行くのが、やはりベストと云えるだろう。
上千本エリア
花矢倉展望台から観る「This is Yoshino」
昔は「花矢倉」の情報が乏しく、探し回ってようやく見つけたのがここだった。
しかし数人が乗ったら床が抜け落ちそうな、こんなオンボロ展望台が、本当に有名な「花矢倉」なのか? と疑心暗鬼に。
そこで、もう少し探して辿り着いたのが、この「吉野展望台」だった。
ただ現在は、かつて「吉野展望台」と呼んでいた、この甘味処「子守茶屋」の駐車場のことを「花矢倉展望台」と呼んでいる。
そしてこちらが、その「花矢倉展望台」から望める有名な景観。
右手の中ほどに見えているのが、中千本にある世界遺産の「金峯山寺」で、いい日に当たれば、このように手前から「金峯山寺」を超えた先まで、花咲く桜が延々と続く圧巻の光景と出逢える。
筆者は2011年の4月12日に出かけたのだが、この年は桜の開花が早く「時、既に遅し」だったため、12年後の2023年3月29日に再訪問し、この写真を撮った。
地球温暖化の影響からか、この年は吉野でも3月に満開を迎えるほど、桜の開花が進んでいた。
なおその桜の絶景を紹介している良い映像があるので、あわせて紹介しておこう。
この動画を配信している、おみやげ・お食事処「花山山本」さんのサイトは、間違いなく吉野山の桜を紹介している、ベストなホームページだと思う。
なお、奥千本エリアは「桜」というよりは、世界遺産に登録された「大峰奥駈道」の範疇に入る秘境の地で、そこにある「義経の隠れ塔」と「西行庵」については、別の記事で紹介している。
ただコアな人のため、もう一度「花山山本」さんの手をお借りしておこう。さすがに地元の人にはかなわない(笑)。
吉野山の道路事情
桜の季節でも、「花矢倉展望台」までクルマで行くことはできる。
ただし日によって歩行者天国や一方通行等の交通規制が実施されるため、通行は複雑で初めての人には勧めない。
それに、そもそも吉野山は歩きながら桜を観て楽しむところだ(笑)。
ちなみに歩行者天国が実施される区間は、吉野山のメイン通りに当たる下千本駐車場から勝手神社までの約1.6キロで、原則8時~21時までの実施になる。
ただ交通状況に応じて実施時間が短縮されたり、勝手神社からの下り一方通行になる場合もあるそうだ。
なお上千本~奥千本エリアの道路は、シーズン中一方通行になる時間帯がある。
この区間にある「花矢倉展望台」の周辺は、道幅が狭く急坂や急カーブも多いうえに、道の両サイドを歩行者がひっきりなしに通る。
特にキャンピングカーは、自分も泣きを見ると思うが、歩く人の視線がビシビシと突き刺さることだろう(笑)。
くたびれない吉野山の歩き方
「吉野駅」から「花矢倉展望台」までの散策は、その勾配のキツさから云うと、ハイキングでは生ぬるく、もはや登山に近い(笑)。
そのため普段から歩いて鍛えていない人は、翌日の旅に支障をきたすことになるかもしれない。
そこで行きは乗り物を使うといい。
ただし使うのは、「ロープウェイ」ではなく「路線バス」。
「吉野駅」からこのバスに乗って「竹林前」まで行き、そこから「花矢倉展望台」までは徒歩になる。
それでもバス停から「花矢倉展望台」までは、ひたすら上り坂を歩いて30分近くはかかるので、途中で景色を観ながら休み休み行こう。
道中からでも金峯山寺に続く桜の尾根は見える。
「花矢倉展望台」の絶景を観終えたら、帰りは吉野駅まで歩いて下ろう。なおその時は車道を通るほうが景色はいい。
吉野山の桜の時期のイベントは
お勧めは、吉野山の桜を金峯山寺の本尊・蔵王権現にお供えする、観桜期の伝統行事「花供会式(花供懺法会)」で、例年4月10日~12日に行われる。
当日は奴行列を先頭に、僧侶・稚児・山伏・信徒らが行列を整え、竹林院から蔵王堂まで練り歩く。
観桜期の吉野山の駐車場とマイカーアクセスガイド
通常マイカーで吉野山に行く際は、玄関口にあたる無料の下千本駐車場(別名:吉野山観光駐車場)を利用することになる。
400台を収容できる下千本駐車場は、吉野山でもっとも広い駐車場で、徒歩約15分以内に蔵王堂を筆頭に、多くの名所が点在している。
ただし観桜期(三月最終土日~GW)は有料となり、料金は普通車1台1日2000円。
場内にトイレがあって夜間もクローズされないので、車中泊をする人もいるようだ。
ただし混雑が予想される日は、マイカー入山規制が実施され、下千本駐車場に駐車出来ない場合がある。
その場合は、臨時駐車場の「吉野町立小学校」「奈良県吉野高等学校」「下千本臨時駐車場」にクルマを停めて、「無料シャトルバス」を利用することになるが、天気のいい日はそれもまた混雑するようだ。
とまあ、他人事のような説明になったが(笑)、実は筆者は観桜期には別のルートからアクセスしている。
いくら世界遺産とは云え、1日2000円も駐車場代を徴収するなんて、このご時世の年金生活者には酷すぎる!(笑)。
ということで、1人ならたった660円で収まる「とっておきの吉野アクセス方法」を紹介する。
”とっておき”の吉野アクセス方法
観桜期には、吉野駅の2駅手前にある「大和上市駅」から、パーク&近鉄電車ライドでアクセスするのが一番いい。
運賃は片道180円。所要時間はたったの4分しかかからない。
そして「大和上市駅」のすぐ近くには、1日最大300円で利用できるコインパーキング「カーパーク大和上市駅前」がある。
実はこの情報は2020年には把握していたのだが、現地に足を運べていなかった。
そのため2023年3月に、実際に「カーパーク大和上市駅」にクルマを置いて吉野山までパーク&近鉄電車ライドをしてきた。
というのは…
かつてはあったウェブ上の記事がなくなり、「カーパーク大和上市駅」が実際に現在もあるのか、どういうレイアウトで何台ほど駐められるのか… といった基本的な情報がまったく得られない状況になっているからだ。
もしかすると有名になりすぎて、露出を減らしたいのかもしれないが、筆者が知る限りここがベストであることに間違いはない(笑)。
そこで、改めて「カーパーク大和上市駅」について詳しく紹介することにした。
まず収容台数は17台。
料金は1時間100円で、24時間最大300円。衝撃的!というべきかも(笑)
ただし現状は…
ジルクラス以上のキャブコンと、ハイエース・スーパーロングはおそらく入庫できないと思う。
その理由はこの通路にある。
ゲートがないのでハイルーフでも大丈夫なのだが、この狭い間口を抜けた先に見える黒いクルマが邪魔で、奥に広がる駐車スペースにクルマが抜けられない。
筆者のハイエース・ナローはかろうじて通れたが、それは幸いにも黒いクルマがコンパクトカーだったおかげで、ここにミニバンが駐まったいたら、アウトだったかもしれない。
ただ地主さんがそのことに気づき、ここに駐車できなくしてくれれば、その問題は解消するだろう。
ただし、筆者が利用したこの日は平日でも「満車」。まさにタッチの差で筆者は運良く最後の席にありつけた。
だが…
その問題にも回避する方法はある。
「カーパーク大和上市駅」のトイレは、改札の外にあるのでいつでも利用が可能。
つまり600円払って車中泊してしまえば、確実に場所は押さえられる。
そう思うと、ハイエースナローは本当に使い勝手のいいキャンカーだ(笑)。
吉野山のお勧め車中泊スポット
さすがに「カーパーク大和上市駅」で車中泊をするというのは、味も素っ気もなく(笑)、はるばる近畿県外から来ていただく旅人にお勧めとは云い難い。
そこでまずは、道の駅から解説しよう。
道の駅で前泊して、翌朝早くから吉野に向かいたい人に適しているのは、約10キロ・クルマで15分ほどのところにある「道の駅 吉野路大淀iセンター」だ。
ただしここは桜のシーズンになると、平日の夜間でも、平坦で車中泊がしやすい場所は満車になる可能性が高い。
いっぽう確実に楽ができるのは、クルマでは「吉野駅」から約15キロ・30分弱のところにあるのだが、隣接する近鉄「飛鳥駅」から「吉野駅」まで約45分・片道480円で行ける「道の駅 飛鳥」だろう。
ただここは、「そういうことに道の駅の駐車場を利用していいのか?」と感じる良識者には勧めない(笑)。
次は後泊でお勧めしたい道の駅だが、筆者のお気に入りは、駐車場でお花見が楽しめる「道の駅 吉野路黒滝」だ。
終了時間が20時までと早いが、すぐ近くに日帰り温泉もある。
早起きが苦手でない人は前泊できないこともないが、吉野駅から約22キロ・クルマで30分ほど離れている。
しかし「道の駅 吉野路大淀iセンター」と「道の駅 飛鳥」が、夜間満車になる可能性がある桜の時期は、比較的空いている「道の駅 吉野路黒滝」を選ぶほうが無難かもしれない。
もうひとつは、温泉が近くにある「道の駅 宇陀路大宇陀」。
ここには近畿でも屈指とされる美しい枝垂れ桜で、樹齢300年を誇る「又兵衛桜」が近くにあり、たぶん夜も空いている。
道の駅以外の車中泊スポットとしては、近くに「リバーフィールドよしの」という車中泊のできる整地された河川敷がある。
なお有料でお勧めなのは、「吉野駅」から約20キロ・30分ほどのところにあって、設備の整った日帰り温泉施設に併設された「RVパークかもきみの湯」だ。
もちろん電源もあるが、何よりいいのは「予約」ができることだろう。
ただ筆者は、温泉を利用したことはあるが、RVパークには行っていないので、詳細は「くるま旅」の公式サイトで確認を。
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※記事はすべて外部リンクではなく、オリジナルの書き下ろしです。


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