この記事は車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、現地取材を元に「車中泊ならではの旅」という観点から作成しています。
※ただし取材から時間が経過し、当時と状況が異なる場合がありますことをご容赦ください。
北海道では、防虫から解毒まで万全の備えが必要
筆者は「虫嫌い」ではないが、北海道だけは特別だ(笑)。
北の大地の虫は多いだけでなくデカイ。そのことはドイツの生物学者ベルクマンの研究で証明されているのだが、極端に云うと北海道のアブは本州のクマバチほどの大きさがある。
それがスキあらばクルマやシェルターの中に飛び込んでくるのだから、まずはこういうアイテムで追い払う必要がある。
いっぽうこちらは筆者がダニに刺された跡。2週間近く痒みが止まらず往生したが、北海道ではこのダニとブヨのふたつの敵に注意する必要がある。
ダニは髪の毛の下の頭皮を刺すのですぐわかる。大半は服やバッグなどについてきて、シュラフや枕などに潜入するため、侵入を食い止めるのは難しい。
有効なのは市販されている「防ダニシート」で、誘導して捕獲してしまうのが一番のようだが、筆者は防ダニ・スプレーと天日干しで対処している。なお、刺された後の対応は、次のブヨと同じだ。
ブヨは、芝生や涼しげな沢沿いなどのキャンプに適した場所に棲息しており、朝と夕方に活発に行動することが知られている。噛まれれば、強烈な痒みと人によっては腫れが伴い、噛まれた数が多ければ、旅どころではなくなる。
最大の防衛対策は「服装」だ。朝夕はとにかく素肌を出さない格好が大事。もっとも涼しい北海道では、それはさほど難しいことではないだろう。
またブヨは、ハッカの香りが苦手だ。
そこで渓流釣りや森林などに散策に行く際には、写真のようにハッカオイルをスプレーボトルに入れて、服や帽子などに散布するといい。
こちらは、ブヨ避けに効果があるというアウトドアボディースプレー。容量も多く使いやすいので、ハッカオイルよりも実用的かも。
いっぽう蚊取り線香では、この「森林香」がブヨを寄せ付けないと云われている。もちろん普通の蚊取り線香では、効果は期待できない。
さて。それでも噛まれた時は、痒くなってからでも写真のポイズンリムーバーで毒を吸い出そう。痒みが収まるのが圧倒的に早くなる。
この製品は吸い出し口が症状に合わせて取り替えられるうえに、吸引力が強く、北海道ではお勧めだ。
ただ、これは通販のほうが手に入れやすいだろう。
次は治療薬だが、市販のムヒなどは全く効かないと思っていい。
根治させる薬はステロイド系の軟膏になる。ステロイドとは副腎皮質ホルモンで、アトピーにも効果があるが、大量に持続的に使うと副作用が大きいとされている。
ただ、こういうケースで一時的に使用するのには、さほど心配することはなさそうだ。大きなドラックストアなら、まず品揃えしている。
最後に、頭皮のように薬がつけにくい場所や、大量に刺された場合の治療には、硫黄の温泉が効く場合がある。
筆者は知床にある無料の「熊の湯」で頭からお湯をかぶり、頭皮の痒みから開放された経験がある。
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