「クルマ旅専門家」・稲垣朝則が、20年以上かけて味わってきた全国のソウルフード&ドリンクを、そのレシピと老舗・行列店を交えてご紹介。


そのルーツは礼文島の漁師料理
「礼文島に行ったら、ほっけのちゃんちゃん焼きを食えよ」。
これは、今は亡き筆者の北海道仲間が最後に残していった言葉なのだが、そのお勧めの伝統料理を食わせてくれる店が、香深フェリーターミナルのすぐ近くにある「炉ばた ちどり」だ。
元々は礼文島の漁師料理と云われる「ほっけのちゃんちゃん焼き」は、ご覧の通り、ナマのほっけを背開きにして皮から炭火で焼き、火が通ったところから順次味噌ダレをつけて味わう。
そのため、味噌ダレに旨さの理由があると最初は思っていた。
しかし、島から出てスーパーでナマのホッケを買い、自分で作ってみて、それが間違いであることに気がついた。
写真を比べれば分かる通り、おおもとの素材であるホッケが違う。
「ちどり」のホッケは目の前にある香深(かふか)漁港から揚がったばかりのものを使っているというが、見るからに身がパ~ンと張っていて、脂のノリがいい。
礼文島付近は寒流(リマン海流)と暖流(対馬海流)が交わる場所で、プランクトンの豊富な、魚の生育に適した環境だという。そのため近海はホッケの産卵場所になっているようだ。
そこで生まれたホッケは、2歳になると回遊をやめて岩礁周辺に定住する。
同時にそれまでのプランクトンだけでなく、小魚、魚卵、イカ、エビ、オキアミなどを食べて太り始める。
その結果、身が厚く脂が存分にのった「大人のホッケ」、このあたりでいう「ネボッケ」になるという。
さて。筆者が「ちどり」を紹介する理由はもうひとつある。
この店は、トイレがあって無料で車中泊ができる香深フェリーターミナルと、日帰り温泉「うすゆきの湯」まで歩いて行ける好立地にある。
つまり、いくら飲んでも大丈夫(笑)。また、お酒を飲まない人には1400円で「定食」にしてくれる。
なお香深のホッケと特製の味噌ダレがセットになった冷凍品が、「ちどり」の近くにある香深漁港の直営店「かふか」で売っている。
お土産に直送してもいいし、キャンプ場で泊まるなら、そのまま持ち帰ってサイトで食べてもかまわない。
同封された調理味噌にネギを加えて焼くだけなので、旅先で炭がなくても、フライパンにアルミホイルを敷いてガスコンロにかけるだけでも十分おいしい。鮭と同じように鍋蓋を使って少し蒸せば、確実に火を通すことができるだろう。
ちなみに香深漁港の直営店「かふか」の「ほっけのちゃんちゃん焼き」は、礼文島の「ふるさと納税」の対象商品にも指定されている。
なお、ネギは「かふか」の隣の「マリンストア」に売っている。

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